[日本と韓国の交差点] 韓国節電最前線~入口を開けっ放しで冷房する店に過怠料

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韓国でも、いよいよ切実な「節電」が始まった。

 韓国を代表する大企業であるサムスンが6月から9月まで、節電キャンペーン「3S(Smart Summer Save)」を実施する。目標は生産現場で5%、オフィス内で10%、家庭で15%の節電だ。「昼休みと退社時にはパソコンの電源を切りコードまで抜く」「終業時間1時間前に冷房を切る」「食事は生野菜・果物・そばで涼しく」「本社ビルではネクタイとジャケットを着けない」。


 インセンティブも導入する。社員が家庭で前月比10%の節電をし、電気代の領収証などを提示してそれを証明したら、図書券をプレゼントする。社員の家族までも節電に参加させるためである。


 政府も動いた。7月1日から、ドアを開けっ放しにしたまま冷房する店の取り締まりを開始する。みつけた場合は過怠料を課す。


 ソウルの繁華街、明洞にあるカフェ、化粧品店、洋服店といったお店のほとんどが、入り口にドアを作らない。客が気軽に入れるようにとの気配りからだ。ドアがあったとしても、開けっぱなしにして客を呼び込む。もちろんドアを開けっ放しにすると暑いので、店内は冷房をがんがんに入れている。


 さらに今年は4月末から、ソウルをはじめとする韓国の各地で、最高気温が連日、28~30度を記録している。気象庁の予報によると、平年より4度ほど気温が高くなっているという。湿気がないので日陰に入れば涼しいが、冬から突然夏になったような気分だ。デパートや銀行では4月からもう冷房を稼働させている。



2011年の停電を機に節電に注力



 韓国は2011年9月、予告なしの停電を経験した。これ以来、日本以上に節電にうるさくなっている。


 2011年9月15日の午後3時、韓国電力取引所は何の予告もなく全国地域循環停電を始めた。異常高温が続くことを予測できなかったため、韓国電力の予備電力が底を尽きそうになったからだ。大規模な停電を防ぐため韓国電力取引所は、午後3時から8時まで地域ごとに30分ずつ停電させた。


 国務総理室の発表では韓国の全1757万世帯数の37.3%に当たる656万世帯が停電を経験した。警察の発表によると、この日、停電によって消灯した信号機は2877機。停電によりエレベータに閉じ込められ消防に救助された人は2095人だった。停電によって被害を受けた中小企業は4588社に上る。突然の停電に、自家発電設備を持たない中小規模の病院、商店は大混乱に陥った。この停電の責任を取って、知識経済部の長官が辞任した。



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By 趙 章恩

2021年6月6




-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120605/232948/

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