スマホやスマートTVでより“偏った”野球観戦が可能に

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プロ野球のシーズンとなり、韓国では野球に関するアプリが話題だ。中でも断トツ人気なのは、好きなチームをひたすら応援するための野球中継を視聴できるアプリである。試合の流れに関係なく、好きなチームを味方する、偏った解説が人気を集めているのだ。

 通信事業最大手のKTが提供する動画アプリ「OllehTV」は2012年4月7日、韓国プロ野球開幕と同時に好きなチームを選んで解説が聞ける野球中継を始めた。チームごとに番組があり、パソコン、スマートフォン、タブレットPC、スマートTVから利用できる。


 韓国でもプロ野球は人気が高く、人気チームであるサムスンライオンスとLGツインズの試合は全席売り切れになるほどである。海外で活躍していた選手が韓国に戻ってきたことや、実力のある新人選手が増えたのも影響しているようだ。


 好きなチームを応援するための野球中継といえば、インターネット個人放送局の「PandoraTV」や「Afreeca」が元祖と言える。PandoraTVのアマチュア野球中継「ファンキャスト」は1700万人を超える視聴者がいる。Afreecaの野球中継アプリは2012年5月末時点で1000万ダウンロードを突破している。移動中に野球中継が見たい、というユーザーもいるが、野球場の観客席にいながらもスマートフォンを利用して好きなチームの中継を見る人が多いので、ダウンロード数も伸びているという。






KTの野球生中継アプリをスマートフォン、タブレット、スマートTVで楽しむ。ファンが解説をするインターネット個人放送局と異なり、チームごとに元選手や元コーチといった有名人が解説者となり、チームの裏話まで披露してくれるところが人気



ソウル市内では地下鉄の中でもWi-Fiが使え、市内どこでも高速でWi-Fiがつながることから、モバイルで動画を見るのが苦にならないというのも、野球中継アプリの人気に火をつけた。Wi-Fiを利用するとワンセグよりもきれいな画質で生中継の動画が観られるので、タブレットPCから見ても画像が割れたり、画質が粗くなったりしない。


 韓国通信委員会と韓国インターネット振興院が「双方向番組プログラム制作支援サービス」として選んだ、KTの野球中継向けマルチアングルサービスは9月から始まる計画である。マルチアングルが導入されると、野球場のカメラのアングルをユーザーが好きに選択できるので、中立的な中継画面ではなく、ひいきのチームが何をしているのかをずっと見続けるという偏った野球中継を視聴できるようになる。


 プロ野球が人気なら、野球ゲームアプリも同時に人気を集めている。CJ E&Mのオンライン野球ゲーム「マグマグ」はプロ野球開幕に合わせてゲーム内容をアップデートして新規利用者が1.5倍増加したという。監督になって野球選手を育成するNHNのゲームアプリ「野球9段」もダウンロードランキング上位にランクしている。


 サムスンのスマートTVには、ドラマや映画を観ながら野球の字幕中継を利用できる機能も搭載された。テレビからネットを経由して好きなチームに応援メッセージを送信できる。スマートTVからは野球選手の記録や試合結果をすぐ確認するアプリも利用できるので、普通のテレビで野球中継を見るより楽しめる。


 この夏は一段とスマートフォンとスマートテレビが手放せなくなりそうだ。





趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
 [2012年6月1日]

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20120601/1051083/

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