RFIDを使った韓国初の“ヘルスケア公園”、ソウル市江南区の「U-Health park」

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趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」

RFIDを使った韓国初の“ヘルスケア公園”、ソウル市江南区の「U-Health park」


2012年からはNFC搭載スマートフォンにも対応へ


韓国には、健康管理のためにICT技術を活用した公園、いわゆる“ヘルスケア公園”がある。ソウル市江南区に2010年11月5日にオープンした「ヤンジェ川U-Health park」である。

 ヘルスケア機能は、RFIDを利用して実現する。具体的には、距離3.75kmの川沿いの散策路に、RFIDリーダーを埋め込んだ。利用者は、RFIDカードを首からかけて散歩する。すると、利用者の運動距離や歩く速度、時間などから、自動的に活動量を測定してくれる。


 測定した記録は、U-Health parkのWebサイトにも自動的に登録される。会員登録をすれば、利用者は自由に自分の記録を閲覧できる。






RFIDカードを首にぶらさげてウォーキングする利用者(写真提供:江南区保健所)






U-Health Park訪問者センターで健康診断と基礎体力診断をしてからRFIDカードを発行(写真提供:江南区保健所)





RFIDカードをかざすことで運動データを測定し、健康情報を提供するキオスク端末(写真:著者が撮影)



区民対象の無料サービス



 運営の主体は、江南区の保健所。サービスは、区民を対象に無料で提供される。江南区は、韓国の中で富裕層が暮らす街として知られる。U-Health parkは、区民のダイエットや成人病予防、健康維持などのために始まった行政サービスの一つである。


 利用者はまず、インターネットか電話で予約した上で、健康診断を受ける。検査前日の夕方から食事は禁じられる。ヤンジェ川散策路の入り口には「U-Health park訪問者センター」があり、ここで基礎健康検査を行う。なお、同センターは月~土曜日の午前9時から午後6時までオープンしており、看護師と運動管理士、栄養士の3人が常駐している。

 検査と会員登録には40分ほどを要する。検査項目は血圧や血糖、コレステロールなどの血液検査に加え、心肺機能や持久力といった基礎体力も検査する。その上で、個人情報を登録したRFIDカードを利用者に発行する。


 検査結果に基づき、どれぐらい運動をすべきかを運動管理士が提示する。歩き方や運動器具の使い方などについても利用者に説明する。これらの手順を踏んだ上で、利用者はいよいよRFIDカードを首にぶらさげて、散策路に出かける。



継続利用者は400人ほど



 江南区役所によると、2011年10月までに訪問者センターで健康診断を受けRFIDカードの発行を受けた人は600人ほど。定期的に同カードを使って運動している人は400人ほどという。持続的な運動をうながすため、毎週土曜日の午前は、グループで一緒にウォーキングする日にしている。


 散策路は川沿いのため、RFIDリーダーを地中に埋め込めなかった場所もある。こうした場所では、地上にキオスク端末を設置した。13箇所にある同端末からも、利用者は活動量などのデータを確認できる。同時に、「散策する時間をもっと長くするべき」「歩く速度をもっと早くした方が良い」など、利用者に合わせたアドバイスも提示してくれる。


 川沿いのあちらこちらには、複数の運動器具が置かれている。ただし、これらの運動器具の利用時間や利用に伴う活動量は、自動的には測定できない。このため利用者は、どの運動器具を何分利用したのかといったデータを自分でWebサイトかキオスク端末に入力しなければならない。



NFC搭載スマートフォンからも



 江南区保健所は、2012年からは首にぶらさげるRFIDカードでなく、NFC搭載スマートフォンからもサービスを利用できるようにする準備を始めるとしている。NFCとスマートフォンを利用することで、リアルタイムの健康状態から運動アドバイスを行ったり、ヘルスケアとその他のサービスを連携させたりといった、より便利な使い方を模索している。




by  趙章恩

BPnet

2012/02/10

orginal link ;
http://www.nikkeibp.co.jp/article/dho/20120210/298882/

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