.B to Cのヘルスケアに乗りだしたSamsung社
Samsung Electronics社が、B to Cのヘルスケア事業に乗りだし始めた。2012年7月2日、「iPhone5」の対抗馬として注目されているスマートフォン「Galaxy S 3」を利用して、「Sヘルス」と呼ぶヘルスケア・アプリケーションを使えるようにすると発表したのである。
Samsungグループはこれまで、B to Bのヘルスケア事業に注力していた。具体的には、次世代事業として医療機器や病院パッケージ輸出、バイオ医薬品などの分野に注力することを2010年に発表。2020年までに3兆3000億ウォンを投資する計画を打ち出していた。
Sヘルスのプレス・リリースが流れてから、韓国ではヘルスケア・ソリューション関連会社の株が一気に上昇した。Samsung社がB to Cのヘルスケア事業を始めるということは、いよいよ同市場が本格的に盛り上がるサインとして業界関係者らが受け止めたからだ。
健康記録を管理し公開できる
Sヘルスは、血圧計や血糖値計で測定したデータをBluetoothまたはUSBでスマートフォンに転送し、手軽に記録できるようにするもの。食べた料理や運動量を記録するとカロリー消費量を計算し、アプリケーションが分析してアドバイスしてくれる機能もある。
さらに、SNSと連動して、健康記録を家族や友達に公開できる機能も備える。Samsung社は、「24時間いつも一緒にいるスマートフォンこそ健康管理には最適なデバイス」と宣伝している。Sヘルスのサービスは、韓国の他、米国や英国など7カ国で始めた。同社のアプリストア「Samsung Apps」からダウンロードできる。
端末のアピール・ポイントと合致
Sヘルスを利用できるGalaxy S 3は、Samsung社が「最高の自信作」と胸を張るスマートフォンである。韓国では3G対応モデルが2012年6月25日、LTE対応モデルは同年7月9日に発売されたばかり。世界147カ国で発売される予定だ。
Samsung社は、Galaxy S 3を「人と交流する端末」「感性を持つ端末」と強調している。例えば、通常のスマートフォンは画面を一定時間タッチしないと画面が暗くなりロックされるが、Galaxy S 3はユーザーが画面を見つめている間は何の操作をしなくてもロックされない。電子本や動画を見る時に便利な機能である。さらに、メールを読んでいる途中に端末を耳に当てると、その人(メールの発信元)に自動的に電話をかける機能もある。
今回、ヘルスケアに力を入れたのは、Galaxy S 3が人を理解して生活をより便利にする端末であることをアピールするためと見ることもできる。
スマートテレビからもヘルスケア・サービス
一方、Samsung社は、スマートテレビを利用したヘルスケア・サービスにも乗りだし始めた。「スマートテレビがあれば痩せられる、健康になれる」といった内容のテレビCMも流しているほどだ。
.Samsung社のスマートテレビからは、230本以上のフィットネス動画を利用できる。ヨガやピラティス、ダンス、ストレッチ、筋トレなどの動画はもちろん、有名芸能人が登場するダイエット動画もある。さらに、ゴルフの姿勢を正しく直してくれるトレーニング動画も100本以上用意している。
「Virtual Mirror」という機能を備えているのが特徴だ。テレビに内蔵されたカメラで自分の動きを撮影し、テレビの画面を半分に割って自分の姿とインストラクターの動きと比較できるようになっているのである。正しい動作をしているかどうかを確認しながら動けるため、より高いダイエット効果が期待できるという。
スマートテレビは、パソコンのように個人ごとにIDを作ってログインできるようになっている。自分のIDでログインして身長や体重を登録しておくと、フィットネス動画を利用した時間から算出した消費カロリーを表示する。体重を記録しておけば、グラフ化してどれだけ減っているのかが分かる。Samung社の説明では、前述のCMが流れるようになってから、「スマートテレビのフィットネス機能ってどんなもの?」と売り場に足を運ぶ主婦が増えたそうだ。
本記事は、デジタルヘルスOnlineのコラム・趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」 に掲載したものです。
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http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120731/231312/