[日本と韓国の交差点]「世代葛藤」~韓国大統領選挙の後遺症

.
韓国の大統領選挙の熱気はすごかった。投票率は75.8%。2007年選挙の63.0%よりも12.8ポイント上がった。中でも50代の投票率は89.9%で、驚異的な記録を達成した。選挙日は臨時公休日になるので、投票しないで旅行に行く若い世代と問題視されてきたが、今年は違った。

 投票日の当日、投票場には、投票開始時刻の朝6時から人が集まった。午後になるとソウル市内のあちこちで、1時間以上待たなければならないほど行列ができた。投票の期限である午後6時になってもまだ人が並んでいた。6時までに投票場に到着した人には整理券を配り、6時を過ぎても投票できるようにしたほどである。


 今回の選挙はまるでお祭りのように盛り上がった。20~30代の間で「投票認証写真」を残すのがブームになった。投票したことを証明する写真をTwitterに掲載して、知人らに投票するよう呼びかけた。認証写真を投稿するとプレゼントがもらえる懸賞イベント、認証写真を見せると割引してくれるお店も登場した。


 芸能人の間では「投票公約」が流行った。「投票率が○%を超えたら、自分は○○をする」とTwitter上で約束するのだ。「投票率75%を超えたら裸でカンナムスタイルを踊る」と公約したロシア出身の女優がいた。公約を守るため、裸で踊る姿を撮った写真をネットで実際に公開し、話題になった(もちろんネットで公開しても問題にならないようモザイクを施した写真を載せた)。念のためお伝えすると、ほとんどの公約は「投票率80%を超えたら」というものだったので大事にはならなかった。


 お祭りのようにここまで楽しく盛り上がったのには理由がある。1つは、安哲秀という斬新な無所属候補が登場したこと。もう1つは、SNS選挙運動が合法化されたことである。これにより、選挙に対する20~30代の関心度が高くなった。カカオトークやTwitterで四六時中、大統領選挙が話題になっていたので、多くの人が自然に興味を持つようになった。


50代以上が朴氏の勝利を決めた


 選挙の結果、得票率51.6%で朴槿恵候補が当選した。文在寅候補は48.0%、その他の候補が0.4%だった。2013年2月に記録だらけの大統領が誕生する――「韓国初の女性大統領」「韓国初の過半数を超える得票率で当選した大統領」「韓国初の親子2代大統領」。朴氏は、もう1つ新しい記録を作った。韓国には投票率が高いと進歩系候補が当選するというジンクスがある。投票率の向上=若い人の投票が拡大だったからだ。だが、今回はそのジンクスが破れた。投票率を高めたのは、若い世代の投票が増えたのではなく、元々投票に熱心なシニア層のボリュームが増えたからだったからだ。



ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。






By 趙 章恩

2012年12月28




-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20121226/241609/

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *