[日本と韓国の交差点] 韓国ビールは北朝鮮よりまずい?

.
韓国を訪れるビジネスパーソンから「韓国の料理はおいしいけど、ビールは味が薄くておいしくない」という話をよく聞く。韓国人も同じことを感じている。韓国では2012年、日本のビールが前年実績の4倍以上(リットル換算)売れ、大人気である。

 日本のビールは韓国の大手酒会社であるOBビール、HiteJinro、ロッテアサヒ酒類が輸入している。ロッテアサヒ酒類が輸入販売している「アサヒスーパードライ」が最も人気が高く、2012年に152万箱(1箱=500ml×20本)売れた。OBビールが輸入販売している「ザ・プレミアム・モルツ」は2012年に15万4000箱売れた。2011年は3万7000箱だったので4倍以上増加している。HiteJinroは「一番搾り」を2012年に20万9000箱販売した。2011年(4万4000箱)に比べて4倍以上売れた。一方で韓国産ビールの国内出荷量は2008年以降1億7765万箱前後で停滞している。


 アサヒ、キリン、サントリー、サッポロのビールが韓国で大ヒットしているのは、やはり「韓国のビールよりおいしい」からである。価格は韓国産ビールの2~3倍するが、それでもコンビニから小さいスーパーまで、日本ブランドのビールを売っている。ちなみに、これらのビールは中国やカナダで製造されたものだ。日本で製造された日本ブランドビールはより高価で、ホテルや高級レストランが販売している。


 韓国関税庁のデータによると、ビールの輸入は、2009年には4万1492トン(3715万6000ドル)だったものが、2012年には7万4750トン(7359万1000ドル)に増えた。このうち日本ブランドビールの輸入が最も多く、市場シェアは前年比4.5ポイント増の25.9%だった。2位はオランダで18.3%だった。大型スーパーでは、輸入ビールの売上高が同56%増と伸びる一方、韓国産ビールは同3.2%減少した。


中小メーカーを活性化してビールをおいしく!


 民主統合党の議員らが4月18日、韓国のビールをおいしくするため、酒税法を改定しようと動き始めた。麦芽使用量が70%(米、麦、とうもろこし、きび、じゃがいも、澱粉、糖分はまたキャラメルの重量と麦芽の重量の合計が、全重量の70%以上であればビール)に満たないものは、ビールとして認めない、とする改定案を国会に提出した。現行の酒税法施行令第3条は10%以上であればビールと認めている。麦芽の量を増やせば味がおいしくなり、風味も豊かになるという考えだ。


 この改定案は次の条項を含んでいる。1)全国の中小酒類製造業者が多様な味のビールを製造できるよう、製造設備に関する規制を緩和する。2)中小酒類製造業者が生産したビールに限定して税率を現行72%から30%に下げる。中小企業がビール市場に新規参入できるようになれば、大手2社――OBビールとHiteJinro――による市場寡占が崩れ、品質競争が始まると見ている。



ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。
 



Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *