サムスンとLGが超高画質TVで勝負、来場者はスマホ写真のプリントサービスに夢中 「韓国World IT Show 2013」から [2013年5月24日]

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 2013年5月21日から24日まで、韓国IT業界が一堂に会する展示会「World IT Show 2013」がソウルのCOEXで開催された。20カ国442社が展示に参加し、アジアの通信キャリアが参加したビジネスミーティングやIT大臣会議、「3Dアートフェア」も同時開催した。


 World IT Show 2013の目玉は、やはりサムスン電子とLG電子の新製品である。


サムスンの目玉は“高級すぎる”テレビ










ソウルで開催された「World IT Show 2013」のサムスン電子ブース。UHDTV(超高画質TV)と曲面型有機EL TVが目玉



 サムスンは、韓国などで4月に発売したスマートフォン「GALAXY S4」(日本ではNTTドコモから発売、発表会速報端末の詳報)と85型UHDTV(超高画質TV)、曲面型有機EL TV(curved OLED TV)をメインに展示した。


 既に米国の展示会「CES」で公開済みで、サムスン本社のショールームでも見られる製品ばかり展示しているので「新鮮味がない」と不満を漏らすネット上の声もあった。だが、曲面型有機EL TVは韓国初公開だっただけに注目を浴びた。


 85型UHDTVの前では、「ダイヤモンドブラックパネルに120ワットの高品質サウンド、その他にもすごい技術を搭載した」という難しい説明が繰り返されていたが、生まれ変わっても買えそうにない“高級すぎる”TVのせいか、来場者の足は自然とGALAXY S4へと向いていた。


やはり人気の「GALAXY S4」


 GALAXY S4は「Life Companion」というキャッチフレーズで、「これがあると生活がこんなに楽しくなる、便利になる」といった使い方を提案する展示をしていた。


 中でも人気はGALAXY S4で撮った写真をその場でプリントしてくれるフォトゾーン。「スマートプリンター」に、スマホからWi-FiまたはNFC(近距離非接触通信、関連記事)を使って写真を転送する。NFC搭載スマホから写真を選んでプリンターにかざすだけでプリントできるという。カメラは1300万画素もあるのでかなりきれいに撮れた。写真を撮るのが好きで、特に自分撮りが大好きな韓国人だけに、フォトゾーンは長蛇の列だった。


 韓国ではブログやSNSで顔写真を公開するのが当たり前なので、スマホで「自分撮り」がきれいにできるかどうかは、機種選択の重要な判断基準になる。ブログに食べ物や景色ではなく、本人の自分撮り写真だけ何百枚も載せる女性が少なくない。ブースで配る記念品が年々減っていくなかで、各メーカーのフォトゾーンで撮った写真は、スマホの性能比べであると同時に記念品にもなっていた。


LGブースもフォトゾーンが大人気











LG電子もやはりUHDTVと曲面型有機EL TVを展示



 LGのブースもフォトゾーンが人気だった。サムスンがGALAXY S4なら、LGはスマホ「Optimus G Pro」(日本ではNTTドコモから発売、関連記事)を押している。5.5インチの大画面で、バッテリー容量はGALAXY S4より大きい。カメラは1300万画素。写真と撮る人と撮られる人が1つの写真に納まるデュアルレコーディング、左右だけでなく上下も含めて360度撮れるパノラマ機能など面白い写真の撮り方もできる。


 LGは「ポケットフォト」という名前のスマートフォン向け小型プリンターを使ってプリントしていた(日本での発売に関する記事)。ポケットフォトは手のひらより若干大きいサイズで、重さ212gとバッグに入れて持ち歩けるほど小さい。


 染料分子入りの専用紙に熱を加えて写真にするので、カートリッジはいらない。専用紙は1枚50円ほど。LG電子は、富士フイルムの「instax miniチェキ」のようなインスタントカメラの需要が根強く残っていることに着目し、ポケットフォトを開発したという。LGは「フィルム代はインスタントカメラよりポケットフォトの方が安い」と宣伝している。




LGは3D映像で勝負、Google TVも


 フォトゾーンが人気を呼ぶ一方で、LGブースの目玉展示品は、やはりテレビだ。7月に発売予定というGoogle Playのアプリをテレビの大画面で楽しめるGoogle TVも登場した。画質で勝負するとして84型UHDTV、曲面型有機EL TVを一番目立つところに置き、ブース内のあちこちでスマートTVから3D映像を流していた。


 「3Dコンテンツに合わせて自動的に色合いや明るさを調整する3Dエンジンを搭載したスマートTV」という説明を聞いたせいもあってか、他で見るより鮮明でくっきりした3D映像を見られるように感じた。LGは、「3DTVの技術力では世界のどのメーカーにも負けない自信がある」とアピールしている。しかし私の感想としては、去年も一昨年も3Dをアピールしていたので、展示内容までも去年・一昨年と同じように見えてしまったのは残念だ。


「江南スタイル」PSYのホログラムも目を引く


 サムスンとLG以外で、もう1つ大きな話題をさらっていたのが、YGエンターテインメントのホログラムである。YGエンターテインメントは、「Gangnam Style(江南スタイル)」で有名なPSY(サイ)、日本でも知られるBigbang、2NE1など人気K-POPスターを抱える音楽事務所である。


 所属するK-POPスターのライブを4Dホログラムで制作、テーマパークのアトラクション向けコンテンツ制作・配給を専門とする会社を、大手通信キャリアKTと一緒に立ち上げた。その最初の作品として、PSYのホログラムを先行公開したのだ。


 メガネのいらない3D映像をさらに立体的にリアルにした感じで、本物のライブを見たように面白かった。このホログラムは、サムスングループが運営するテーマパーク「エバーランド」に2013年7月オープンするアトラクション「K-POP Hologram YG at Everland」で上映するコンテンツでもある。


 ハードウエアだけでなく、学生ベンチャーの試作品や、中小企業のコンテンツ・アプリの展示も充実していたWorld IT Show 2013。早くも来年が楽しみである。







趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130524/1091542/

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