スマホが売れない? 次の市場「スマートウオッチ」狙うサムスンとLG [2013年8月2日]

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スマートフォン市場に異変が起きている。

 このところ、韓国サムスン電子(スマートフォン世界シェア1位)の「GALAXY S4」や、米アップル(シェア2位)の「iPhone 5」のようなハイエンドスマートフォンの需要が減り、出荷台数も営業利益も減るだろうと予測する証券市場関係者のリポートが相次いでいる。これらの市場関係者は、ハイエンドではなく、300ドル以下のリーズナブルな端末の方が売れる時代になると見ている。

 実際に2013年7月末に各社が発表した4~6月の業績を見ると、韓国のサムスンとLG電子(世界シェア3位)、アップルの3社ともに、スマートフォン出荷台数の多さに比べて利益水準はそれほど高くない。サムスンの場合、ITモバイル部門の売上は前期に比べ8%増加しているが、営業利益は前期に比べ3%減っている。

 サムスンは「スマートフォンの売上高は伸びている。パソコンとネットワーク事業の実績が落ち込んでいること、新製品研究開発・流通投資の拡大により、前期比営業利益は小幅減少した」と説明した。

 LGも4~6月に出荷台数は伸びたが、平均販売単価が落ちたことで前期比売上も営業利益も落ち込んでいる。アップルも4~6月に3120万台ものiPhoneを販売したものの、純利益は前期比22%減少した。既にスマートフォンの普及率が高くなったことで、欧米市場での販売が落ち込み、途上国向けの安い端末しか売れないのでスマートフォンの利益は減少すると証券会社らは予測している。

アップルだけではなく韓国2強もスマートウオッチの商標出願

 そのせいか、アップルに続いてサムスンとLGもスマートフォンの次のハイエンド市場として、腕時計型デバイスの「スマートウオッチ」に力を入れている。

 サムスンのスマートウオッチは「Samsung Gear」という名前になりそうだ。サムスンは韓国と米の当局に「Samsung Gear」を商標登録した。登録した内容を見ると、Samsung Gearは、「PCやスマートフォン・家電とデータのやりとりができる、健康状態記録のための多機能ソフトウエア、デジタルカメラ、GPS位置確認システム装置、音響と映像の記録・再生・転送装置、TV受信機、コードレスヘッドセット」などの機能が搭載されるようだ。

サムスンは既に開発完了か?

 韓国マスコミは、「サムスンは既にSamsung Gearの開発を完了し、インドで製品テストをしているのではないか」「2013年9月にドイツで開催される世界家電展示会(IFA)で初めてGearを公開するのではないか」と見ている。そうなれば、アップルよりも先にサムスンがスマートウオッチを発売する可能性も高くなる。サムスンはIFAで「怪物」と噂される超ハイエンドスマートフォン「Galaxy Note 3」を披露する予定でもある。

 LGは韓国の特許庁に「G Watch」「G Glass」というブランドを商標登録出願した。名前からしてウエアラブルデバイスなのは間違いないだろう。LGは、「商標登録出願しただけでどのようなものになるかはまだ決まっていない」と説明した。

韓国ネットユーザーもアップルに熱視線

 日本でもソニーがスマートウオッチを発売して話題になっているが、韓国ネットユーザーの間でもスマートウオッチは話題の中心になっている。韓国でも本命はやはりアップルの「iWatch」(関連記事)。その理由はデザインにある。

 アップルなら普通の時計と変わらないかっこいいデザインのスマートウオッチを作りそうだという期待が高まっている。サムスンかアップルか、どっちのスマートウオッチにするかは、性能だけでなくデザインにかかっている。防水機能があってディスプレイがきれいな方を選ぶという意見も多い。

 アップルのスマートウオッチも10月には公開されるのではないかと見られる。年末商戦期には、スマートウオッチ競争が本格的に始まりそうだ。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130802/1100286/

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