サムスンが世界初の曲面ディスプレイスマホ「GALAXY ROUND」発売、高価な“瓦”との酷評も [2013年10月11日]

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ついに韓国でも、米アップルの新型スマートフォン
「iPhone 5s」「iPhone 5c」が発売されることになった。2013年10月9日、アップルは10月25日から韓国など51カ国でiPhone5s/5cを発売すると発表した。日米などに続く第2弾の発売である。

 同じ10月9日に、サムスン電子は世界初という曲がったディスプレイのスマホ「GALAXY ROUND」を発表した(関連記事)。


韓国サムスン電子の曲面ディスプレイ搭載スマートフォン「GALAXY ROUND」

 さらにサムスンは従来機の「GALAXY S3」と「GALAXY Note 2」を“実質無料”で販売すると発表した。「MNP(番号乗り換え制度)で12カ月以上の契約で、月額約3000円以上の料金プランに加入する」という条件付きではあるが、このタイミングでの値下げは、iPhone5s/5cの発売に合わせたのではないかと疑いたくなる。主力スマホの「GALAXY S4」も大手量販店で8割引の1万5000円ほどで販売を始めた。

手元にすっぽり収まる形状

 新たに発売されるGALAXY ROUNDは曲がったディスプレイを搭載した世界初の「カーブド(curved)スマートフォン」である。曲がったディスプレイというので、掛け軸のように丸められるディスプレイのことかと思ったが、そこまで曲がるわけではなく、少し曲がったままのディスプレイだった。形が似ているとして、SNSでは早速“瓦”というニックネームが付いた。

GALAXY ROUNDの“瓦”のような外観

 5.7型のFull HD Super AMOLEDディスプレイの左右曲率が400mmなので、若干左右が丸くなっている感じだ。手に持つと、手のひらのカーブに沿ってすっぽり収まるのでグリップ感はとても良い。通話する際にも耳の周りにくっつく感じなので、イヤホンをしてスマホのマイクを口の前に近づけなくても大丈夫だ。


GALAXY ROUNDを上部から見たところ。カーブは手のひらになじみやすい

 CPUは2.3GHzクアッドコア、メモリーは3GB RAM、カメラは1300万画素と仕様は「GALAXY Note 3」(関連記事詳細レビュー)とほぼ同じ。だが、曲がったディスプレイはガラスではなくプラスチック素材なので、GALAXY Note 3よりも薄く(7.9mm)、より軽く(154g)なった。

GALAXY ROUNDの価格は約10万円と高め

 GALAXY ROUNDは韓国の大手通信事業者(キャリア)のSKテレコムが独占販売することになっていて、価格も10万円ほどする。まだ世界市場で発売する計画はないようで、「サムスンはこんなものまで作れる」という技術力をアピールするための端末なのかもしれない。

 GALAXY ROUNDの発売に韓国のSNSは大いに盛り上がっている。「すごいスマートフォンが登場した」と期待する声が多いが、「こんな高い“瓦”、誰が買うの?」「曲がったスマホではなく、曲がるスマホが欲しかった」「世界初を狙う挑戦はすごいが、販売できるような代物ではないだろう」「韓国のユーザーは自腹でサムスンのテスターをさせられるわけか」といった辛口コメントもある。iPhoneファンとGALAXYファンが互いに“自分側”の先進性を主張し合って、SNSでけんかする事態まで起きている。

「曲がるバッテリー」は製品化できる?

 サムスンやLG電子が展示会で公表した「曲がるディスプレイ(フレキシブルディスプレイ)を使ったスマホ」を作るには、もちろん曲がるバッテリーが必要である。バッテリーは発熱して爆発する可能性もあり、物理的に安定していることが重要だ。曲がるバッテリーの開発に成功したとしても、安全性を考慮すればそう簡単には製品化できないだろう。

 LG電子製スマホのバッテリーを製造しているLG化学は、「大きいバッテリーの上に小さいバッテリーを積み上げられる階段式バッテリー」に続いて、ウエアラブルデバイス向けの巻きつけても大丈夫な曲がるバッテリーを開発し、量産を始めると10月8日に発表した。LG化学によると、これら新しいバッテリーは「スマホのバッテリーは四角」という固定概念から脱皮し、スマホのデザインに合わせて作れるという。端末内部の無駄なスペースを減らして、ぴったりのバッテリーを組み込める。内部スペースをフル活用できる分バッテリー容量も増やせるので、より長時間動作するという。

 iPhone 5s/5cへの対抗のために、韓国ではサムスン、LG電子、パンテックの新機種発売や、サムスンの大幅値下げなどの動きが相次いだ。それでもiPhone 5s/5cが売れるのか、サムスンが市場を守り抜くのか、楽しみである。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20131010/1108103/

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