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2014年年明け早々韓国で話題になっているのは、就任2年目を迎えた朴槿恵大統領が1月6日、就任以来初めて記者会見を行ったことである。野党の民主統合党や正義党はずっと「朴大統領は自分と違う意見を持つ人とは話したがらない」「朴大統領は不通(話が通じない)大統領だ」と批判してきた。
記者会見は、朴大統領の国政構想に関する発表から始まった。朴大統領が強調したのは、景気回復と北朝鮮との統一だった。朴大統領は「統一は、韓国経済が一層跳躍できるチャンスである」と述べた。「経済革新3カ年計画を成功させ、3年後には潜在成長率4%、1人当たり国民所得4万ドル、雇用率70%を達成する」「統一時代を切り開くための基盤を構築する」。
「経済革新3カ年計画の推進戦略として、(1)財政・税制改革、(2)創造経済による革新経済の創造、(3)内需を活性化して内需と輸出のバランスが取れた経済を進める」
財政・税制改革の具体策は、政府補助金の不正受給をなくすことと、公共企業の放漫な経営をなくすことだ。革新経済の創造は、既存産業にICT(情報通信技術)と科学技術を融合して新しい製品・サービスと雇用を生み出すことを指す。環境とエネルギー問題を解決することも重要だ。内需を拡大し、輸出とのバランスを図るため、5大有望サービス産業――保健医療・教育・観光・金融・ソフトウェア――を集中的に育成する。中小企業の輸出競争力強化し、投資を増やすため、投資関連規制をすべて白紙に戻して再検討することも進める。
「2015年で(南北)分断から70年になる。韓国が世界で一段階上に跳躍するためには、南北の対立と戦争威脅、核威脅から抜け出し、韓半島(朝鮮半島)統一時代を切り開かないといけない。そのための準備を始めるべきである」「(南北に分かれた)離散家族が再会できるようにする。これが南北間の対話のきっかけとなることを希望する」
円安に対する特別な施策は取らない
朴大統領は記者会見の質疑応答で「円安ウォン高に対する措置」「統一に向けた具体的な措置」「日本、中国との関係」などについて答えた。
円安ウォン高で価格競争力が落ちている韓国企業に対する特別な支援は考えていない。「企業が原価節減とリストラで競争力を高め、より積極的に海外市場を開拓すれば危機をチャンスに変えられる。円安が韓国経済の負担要因であるのは事実だが、韓国はFTA(自由貿易協定)強国なので、企業はFTAを活用して輸出競争力を確保してほしい。政府は中小企業・中堅企業が輸出を拡大できるよう支援する。内需を拡大して内需と輸出のバランスを取る」と説明した。
統一に向けた具体的な措置に関しては、「統一費用がかかりすぎることから、『統一をする必要があるのか』と考える国民が多いようだ。しかし私は、統一はデバク(韓国の流行語で最高、大ヒット、大儲けするという意味がある)だと思っている。統一は韓国経済が一層跳躍するためのチャンスである」
「韓半島の平和と統一の準備のために必要であれば、北朝鮮の指導者といつでも会う。この立場は変わらない。ただし、会談のための会談になってはならない」
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