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韓国銀行(中央銀行)が3月26日「2013年国民経済計算」を発表した。これは韓国の1年間の経済成長を把握するための統計である。国民経済計算によると、韓国の国内総生産(GDP)は2012年の1兆2224億ドル(約128兆円)から2013年の1兆3043億ドル(約137兆円)に増えた。
国内総生産に「海外で韓国人が稼いだ所得」を足して、人口の数で割った1人当たり国民所得(GNI)も、2012年の2万4696ドル(約259万円)から2013年の2万6205ドル(約275万円)に増大。史上最高額を記録した。
韓国の1人当たり国民所得は2007年に初めて2万ドルを超えた。金融危機の影響で2009年の国民所得は1万8000ドルに減ったものの、2011年以降は2万ドル台を維持している。
韓国では国民所得を非常に重要な経済指標として考えている。日本、米国、ドイツ、カナダなど先進国は1人当たり国民所得が4万ドルを超えている。そのせいか、韓国政府は「韓国が先進国の仲間入りした」ことを国民所得で示したいようだ。国民所得への執着の強さは、歴代大統領の経済政策に必ず「国民所得4万ドル時代を切り開く」というフレーズが含まれていることにも現れている。韓国メディアの経済ニュースには、「国民所得が2万ドル台で足踏み状態である。打開策が必要だ」という文章が必ずと言っていいほど登場する。
朴槿恵大統領は就任2年目を迎える2014年1月、財界要人らとの新年あいさつ会で、1人当たり国民所得4万ドル(約420万円)の 早期実現を目指すと強調した。朴大統領は2014年2月に「経済革新3カ年計画」を発表し、(1)任期が終わる2017年までに1人当たり国民所得3万ドル(約315万円)を達成して4万ドル時代へ一歩近づく、(2)雇用率70%を達成する(現在は64%前後)、(3)潜在経済成長率を4%台に引き上げることを目標に掲げた。
朴大統領は、国民所得3万ドルが以下の施策で達成できると説明した。(1)公共企業の改革をはじめとする施策を打ち、企業の取引をより公正・透明にすることで体質を改善する。(2)創造経済(既存産業とITの融合による新しいビジネス、既存産業の隙間を狙ったアイデアビジネス)で雇用を増やし基本賃金を上げる、(3)所得が増えると消費も増え、輸出だけでなく内需も活性化し経済成長につながる。
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