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中国の習近平国家主席が7月3~4日、韓国を訪問した。中国の国家主席が韓国を訪問したのはこれが4度目。ただし、北朝鮮より先に韓国を訪問したのは初めてのことである。ほかの国を訪問するついでに韓国を訪問したのではなく、韓国単独訪問というところも話題になった。
習近平国家主席が韓国を訪問する前、中国政府は友好の証しとしてジャイアントパンダ2頭を韓国に贈ると発表した。税関の手続きが終わるまで2年はかかるというので、パンダが韓国にやってくるのは2016年になりそうだ。
パンダが韓国にやってくることに関して面白い記事があった。朝鮮日報は7月4日、北朝鮮軍が射撃訓練の際にパンダの絵を描いた標的を使っていると報じた。北朝鮮側は、中国が韓国にパンダを贈るほど両国が仲良くなったことに怒っているというのだ。
中国は1994年に、韓国と中国の修交2周年を記念し、ジャイアントパンダ2頭を贈ったことがある。サムスングループが運営する動物園「エバーランド」で飼育していた。しかし1997年末の通貨危機の際、韓国政府は年間100万ドルのパンダ賃貸料を払い続けることができず、1998年2月に中国に返却した。実は2013年にも、韓国にパンダを贈るという提案が中国政府からあった。だが韓国政府は、高い賃借料と年間50億ウォン(約5億円)かかるという餌代や飼育場の管理が手に負えないとして断っていた。
中国からの2度目の提案に、韓国政府も今回は断れなかったようだ。韓国政府は2018年のピョンチャン冬季オリンピックに向けて、2016~2018年に観光客誘致キャンペーンを大々的に行う予定。2016年にパンダが韓国にやってくれば観光名所になるのではないかと期待する面もある。
日本にも2011年4月、上野動物園にジャイアントパンダ「リーリー」と「シンシン」が来た。一般公開されると、3000人の行列ができるほど大きな騒ぎになった。韓国政府も同じことを期待しているようだ。中国は韓国に対して、友好の証しと言いながらも、パンダの賃借料をおまけしてはくれなかった。中国は日本に対しては「リーリー」と「シンシン」の賃貸料を通常より5万ドル安い年間95万ドルにした。
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