[日本と韓国の交差点] 出産休暇・育児休職は絵に描いた餅? 子供を産まなくなった韓国女性

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日本でも米国でも、女性が輝く社会づくりに力を入れている。日本は「女性活力・子育て支援担当大臣」を指名した。米国でも、バラク・オバマ大統領が「女性の成功は米国の成功だ」として、出産や育児で女性が働くことを諦めることがないようにサポートする政策を打ち出している。韓国も例外ではなく、「母性保護」と銘打った政策で、女性が働きやすい環境を作ろうとしている。

 しかし「制度はあるものの、出産休暇・育児休職は実際には絵に描いた餅。女性が仕事と子育てを両立するのは非常に難しい」として女性団体やメディアが問題視している。このままでは、仕事を続けるために結婚しない、もしくは子供を産まない女性が増え、韓国の人口が減ってしまう。経済成長に悪影響が出るのは必然だ。韓国メディアは連日「女性が働き続けるために必要な本当の政策は何か」について特集を組んでいる。

出産休暇を申請すると解雇をほのめかされる

 ソウル市は女性の経済活動を支援するため、「職場ママ(働く母親)支援センター」を運営している。同センターは7月2日、2012年4月~2014年3月に寄せられた相談2749件のうち、出産・育児に関連する1732件を分析し、結果を発表した。それによると、子供がいる女性会社員の76%が「出産休暇・育児休職を申し込んだ際に会社側から解雇をほのめかされたことがある」と答えた。33%は「(出産休暇・育児休職を申請するなら」辞表を出せと言われた」と答えている。さらに、22%は「解雇する」と言われ、21%は「再契約を拒否された」。総じて、出産休暇・育児休職を自由に使えない環境であることを悩んでいる。

 ソウル市は同日、雇用政策を担当する雇用労働部(部は省)の担当者を呼び、女性団体や弁護士から意見を募る討論会を開いた。女性団体らは、次のような提案をした。
「出産休暇・育児休職を企業に直接申請するのではなく、公的機関に申請するようにしてほしい。公的機関が事業主に通知する」
「事業主が出産休暇・育児休職申請を認めなくても、法律通り休めるようにする」
「出産休暇・育児休職を申請したことを理由に、事業主が解雇したり、再契約を拒否したりした場合、公的機関が労使の間に入って調整する」

 ソウル市の女性家族室は、「出産休暇・育児休職を申請できる制度を1987年に整えたのに、いまだにこれを知らない企業がある。出産休暇・育児休職制度についてもっと広く知らせたい。女性が出産と育児のために仕事を諦める『キャリア断絶』を防ぎたい」としている。

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2014年7月14日
 趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column


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