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無料メッセンジャーアプリの「カカオトーク」が、タクシーを配車するサービスを始める――韓国のメディアが7月31日、一斉に報道した。カカオトークが提供するスマホ・アプリを使えば、現在位置から最も近くにいるタクシーを呼ぶことができる。料金も、現金やクレジットカードではなくアプリで支払う。カカオトークは、生活が便利で楽しくなる、スマホ向けサービスとして、このサービスを開発したと説明した。
カカオトークのタクシー配車サービスが注目されたのは、米国発の同様のサービス「Uber」に関して、ソウル市が利用禁止を検討していると発表したばかりだったからだ。Uberは2013年8月からソウル市で、「高級車をタクシーのように使える配車サービス」を始めた。Uberは2014年3月、東京にも進出し、ハイヤーを呼ぶ配車サービスを提供している。
Uberは、2010年6月からサンフランシスコで、配車サービスを始めた。ユーザーは、仲介アプリにクレジットカード情報とメールアドレスを登録する。配車を要請すると、運転手のプロフィールと写真が送られてくる。やってきた車に乗って目的地まで移動し、運賃はアプリを使って払う。ユーザーが支払った運賃からUberの手数料20%を除いた額が運転手の収入だ。
運賃は格安航空と同じで、同じ距離でも車が空いている時間帯は安く、ユーザーが殺到する時間帯は高い。Uber経由で利用できる車は色々な種類がある。タクシーより安く利用できる車もあれば、タクシー運賃の2~3倍はする高級車もある。米国では、自家用車を所有する個人が運転手としてUberに登録して、タクシーのように営業できるようにした※2。
既存のタクシー会社が反発
Uberは、クルマかタクシーしか交通手段のない米国で、今すぐタクシーを利用したい人と、手の空いた運転手をマッチングすることで繁盛してきた。しかし韓国では、タクシーの免許を持たない個人が客を乗せて運賃を取るのは違法である。そこでUberは、VIPに送迎サービスを提供する会社と提携し、運転手付き高級車を配車するようにした。だが、タクシー営業の資格を持たない送迎会社が、タクシーのように客を乗せるのは違法だとして問題になった。
ソウル市もUberの利用禁止を検討していると明らかにした。理由は「Uberは旅客自動車運輸事業法に違反している。タクシー営業の資格を持たない運転手が、自家用車やレンタカーを使い、運賃を取って客を乗せるのは違法である。正規タクシーでない場合、交通事故が起きても乗客の被害は補償されないという問題がある」。VIP送迎会社はレンタカー事業者として事業登録している。レンタカー事業者が運転手付きでクルマを貸してもいいのは、乗客が外国人、65歳以上のシニア、障害者、国家または地方自治体関連行事、車を6カ月以上長期レンタルしている法人の行事だけである。
その代わりソウル市は、タクシー業界の公正な競争を促すために、正式に免許を持つタクシーを対象にした配車アプリを開発し、市民に提供することにした。また、ソウル市は国土交通部(部は省)に、旅客自動車運輸事業法を改訂して、Uberのようなサービスを禁止する「有償運送行為斡旋禁止条項」を新設するよう提案した。
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