「韓国スマートヘルスケア最前線」 SamsungとFacebookが「ヘルスケア」で急接近 [2014年10月24日]

.

韓国のヘルスケア業界では最近、Samsung Electronics社と米Facebook社の急接近が話題になっている。

 2014年10月14~15日、Facebook社 CEOのMark Zuckerberg氏と同社役員約40人が、Samsung Electronics社本社を訪問した。韓国メディアは、Samsung Electronics社とFacebook社の経営陣の会合はこれが3度目で、経営トップ同士で事業提携について話し合いをしたと報道した。

仮想現実とヘルスケアの組み合わせも

 Samsung Electronics社とFacebook社が提携を検討している分野は、スマートフォン、モバイル広告、仮想現実、そしてヘルスケアだとみられる。Samsung Electronics社もFacebook社もヘルスケアに関心を寄せていることから、韓国ではSamsung Electronics社の端末とFacebook社のプラットフォームを組み合わせた新しいヘルスケアサービスを始めるのではないかとの見方が出ている。

 Samsung Electronics社は、Facebook社が買収した米Oculus VR社と提携し、2014年9月にヘッドマウントディスプレイ「GEAR VR」を公開している。このため、仮想現実とヘルスケアの組み合わせも考えているのではないかと予測する声もある。


個別投資か連携か

 Facebook社もSamsung Electronics社も、ここにきてヘルスケア関連の取り組みが目立ち始めてきた。

 例えば、Facebook社は2014年4月、歩いたり走ったりといった1日の行動を自動で記録するアプリ「Moves」を開発したフィンランドProtoGeo社を買収した。海外メディアは、Facebook社がProtoGeo社を買収したのはヘルスケア市場に進出するためであり、FacebookというSNSプラットフォームとMovesを使って、患者をサポートするサービスを構想していると報道した。同じ疾患を持つ患者同士をFacebook上でつなげ、生活習慣を改善するアドバイスを提供し、ユーザー同士が運動や食事などの情報を共有することで闘病をサポートするサービスである。

 Samsung Electronics社は、同社のスマートフォンの新機種「GALAXY NOTE4」にヘルスケア機能を追加して話題になった。2014年9月に公開した同機種は、心拍測定センサー、血中酸素飽和度計、紫外線測定センサーなどが搭載されていて、本格的なヘルスケアスマートフォンとして注目を浴びている。これらの機能はウエアラブル端末の「GEAR S」にも搭載する予定だという。スマートフォンとウエアラブル端末を連動したヘルスケアサービス「S Health」についても拡大を図っている。

 高齢化の進行により、健康で長生きすることが、全世界共通の関心事になってきた。Samsung Electronics社もFacebook社も、ヘルスケアをきっかけに新たなユーザーの獲得を狙っているのは間違いない。既に世界のヘルスケア市場では、米Google社や米Apple社などが先行して取り組みを進めている。こうした中、今回のSamsung Electronics社とFacebook社の動きからは、それぞれ個別にヘルスケアに投資するよりも、連携して先行陣営に対抗しようとする意図が垣間見える。



By 趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」
日経デジタルヘルス

-Original column

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *