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韓国Samsung Electronics社は2014年11月25日、体外診断分野の市場拡大を狙い、米Thermo Fisher Scientific社と提携すると発表した。
Samsung社によれば、Thermo Fisher Scientific社は世界約100カ国という体外診断分野で業界最大の販売ネットワークとサービスインフラを持つ。Samsung社はこのネットワークを活用して自社の体外診断機器の販売を促すとともに、新製品を開発して市場を拡大する計画という。
Thermo Fisher Scientific社は、1902年に創業したFisher Scientific社と1956年に創業したThermo Electron社が2006年に合併して生まれた。米国マサチューセッツ州ウォルサムを拠点とし、世界に5万人の従業員、170億米ドル近くの年間売上高を誇る総合科学サービス企業である。体外診断用の機器や分析機器、試薬などを販売しており、日本にも東京や大阪、名古屋などに支店を持つ。
Samsung社がThermo Fisher Scientific社のネットワークを使って販売するのは、臓器疾患や炎症などを現場ですぐに診断できる体外診断機器である。Samsung社の血液検査装置「Samsung LABGEO IB10」は、前処理の必要がなく、少量の血液で心臓疾患や肝炎性疾患など3つの疾患を20分以内に検査できるという。小さくて持ち運びできバッテリーでも駆動するため、患者が病院に到着するまでの救急車の中で基本的な検査ができるのが特徴だ。
この血液検査装置はスコットランドの救急医療体制改善のための実証実験にも使われた。この実験では、57人の専門救急隊員が100人以上の胸痛急患を救急車で搬送しながら同装置で検査をし、データを病院に送信。病院に到着してすぐ医師が手当てできるようにした。
SK Telecomも体外診断機器メーカーと提携
Samsung社が今回の発表を行ったのと同じ日、韓国の保健福祉部(部は省)は「人体に有害な影響を与える恐れの少ない体外診断用製品と遠隔医療機器について、審査方法を簡素化する」と発表した。これにより、臨床試験を済ませ、食品医薬品安全所の許可さえ取得すれば、すぐにこれらの機器を販売できるようになった。1年以上かかる保健医療研究院の新医療技術評価や、健康保険審査評価院の保険審査を省略できる。この規制緩和から、韓国では医療機器の中でも体外診断機器市場の急成長が見込まれている。
韓国の携帯電話市場シェア首位のキャリア(通信事業者)であるSK Telecom社も、韓国の中小体外診断機器メーカーと提携し、話題となった。同社は中小企業とコンソーシアムを組んで、中国市場向けの体外診断機器と診断プラットフォームの開発を目指している。同社は韓国の通信事業者の中で、ヘルスケア事業に最も積極的だ。
Samsung社とSK Telecom社は、医療産業のパラダイムが治療から予防へシフトしていることから、血液分析や血糖測定、遺伝子分析などの体外診断機器に注目している。韓国の保健福祉部は、体外診断機器の世界市場規模を2013年に50兆ウォン(約5.5億円)と推定しており、2020年には80兆ウォン(約8.8兆円)に伸びるとみている。体外診断機器の小型化と検査時間の短縮が進んでいることから、病院だけでなく救急車や保健所、家庭にも需要があるという。