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数年前から「脱通信」、「融合」、「ライフスタイル全般をサポートする」といったキャッチフレーズを掲げている韓国のキャリア3社。モバイル決済やモバイルショッピング、モバイルクーポン、モバイル動画サービスなどの競争に続いて、2015年からは本格的にO2O市場の先占を狙った競争を繰り広げている。
O2Oは「Online to Offline」の略で、スマートフォンのアプリケーションを利用してオフライン店舗に顧客を誘導したり、オフライン店舗のユーザーをオンライン誘導したり、顧客がスマートフォンを使ってオフライン店舗をより便利に利用できるようにしたりするビジネスである。
韓国で最も有名なオンラインとオフラインをつなげるO2Oサービスと言えば、「出前アプリ」がある。地域とジャンルを選択すると出前してくれるレストランが数十件登場し、メニューを見ながらアプリ上で注文決済すると、自宅に料理が届く。
アプリで出前が当たり前に
韓国では、ほとんどのレストランが出前をしている。以前は電話で出前を頼んだが、メニューや値段を電話で聞きながら注文するよりアプリの方が断然便利なので、今では出前はアプリ経由でするスタイルが定着した。一部の出前アプリは、手数料さえ払えば、遠い地域からの出前や高級ホテル料理の出前にも対応している。出前アプリは、食べ物に関する便利屋の役割を担っている。
その他に、「ソーシャルコマース」がある。オフライン店舗が、自分達のサービスを利用できる商品券を、アプリを通じて安く販売する。ネイルやマッサージ、またはレストランのセットメニューなどの商品券を、通常の半額以下で限定販売するのだ。日本にも似たようなサービスはたくさんあるが、韓国の方が社会における認知度が高く、利用者も圧倒的に多いと感じる。
SKPlanetが運営するアプリ「Syrup」(左)とネットで話題のO2Oアプリ「YAP」
O2Oに一番力を入れているキャリアは、SKテレコムである。グループ会社のSKPlanetが運営するアプリ「Syrup」を利用すると、ユーザーの位置情報に応じてBluetoothで近くのお店のクーポンや特売情報を配信し、スマートフォンユーザーをお店に誘導する。Syrupはクレジットカードやメンバーシップカードを保存する機能もあるので、スマートフォンさえあればあれこれカードを持ち歩かなくても、クーポンを使い割引された金額で決済してスタンプも貯められる。明洞や新村などソウル市内の主な繁華街にある店は、Syrupに対応している。