「韓国スマートヘルスケア最前線」いよいよ本腰? Samsungがモバイルヘルスで相次ぎ提携 [2015年07月22日]

,

2015年7月9日、WIPO(World Intellectual Property Organization)のウェブサイトに、韓国Samsung Electronics社の「モバイルデバイスを使った体脂肪測定方法及び装置」に関する特許出願のドキュメントや図版が公開された。特許は2014年3月に出願されたものである(関連サイト)。

 「METHOD AND APPARATUS FOR MEASURING BODY FAT USING MOBILE DEVICE」と題するこの特許は、モバイルデバイス(スマートフォン)のケースが備える4つの電極を手で握ると、身体に電流を流し、インピーダンス(交流における電圧/電流比)から体脂肪率を測るというものである。体重計のような形をした通常の体脂肪計は、手や足裏部分に電極がついており、ここから身体に電流を流して体脂肪率を測る。今回の技術はこの機能をスマートフォンで提供する。

糖尿病管理アプリを年内に

 Samsung社は2015年6月、米医療機器大手のMedtronic社と長期協業契約を結び、「モバイル糖尿病管理アプリ」を開発中であることも発表している。Medtronic社は、血糖値をリアルタイムにモニタリングできるインシュリンポンプのメーカーとして知られる。国際糖尿病連合(IDF)によれば、糖尿病患者は全世界に約3億8700万人。「糖尿病と共に生きる人々が日常をもっと楽しめるようにするために提携した」と、両社はプレスリリースでコメントしている。

 この協業では、Medtronic社のインシュリポンプとSamsung社のスマートフォンやウエアラブル端末をつなげ、患者が自分の血糖値を常に確認できるようにする。血糖値が高すぎたり低すぎたりといった危険な状態になるとアラートを表示し、医師にも患者の状態を伝える。患者は血糖値を毎日測って自ら記録しなくても、血糖値のデータを自動的に蓄積可能だ。このデータを医師と共有し、正確な診断と処方をできるようにする。

 開発する糖尿病管理アプリは、Android OS向けに2015年内に米国でサービスを開始する予定だ。Medtronic社は、iOS向けの糖尿病管理アプリを公開済み。血糖値を測るべき時刻をアラームで教え、海外にいる時は時差を自動的に計算して血糖値測定時間や薬を飲む時刻を教えてくれる。

WIPOのウェブサイトの該当特許
[クリックすると拡大した画像が開きます]
測定方法(WIPOウェブサイトから)


イスラエルや中国の企業とも

 Samsung社は2015年に入ってから、モバイルヘルスケア関連の企業と相次ぎ提携または出資している。1月にはイスラエルEarlySense社に1000万米ドル(約12億円)を出資。EarlySense社は非接触のバイタルセンシング技術を持ち、Samsung社はこの技術を高く評価して出資を決めたという。

 同年4月には、イスラエルMybitat社との協業を発表。家の中で高齢者の動きをモニタリングし、異常があれば家族などの関係者に知らせるIoTヘルスケアプラットフォームを開発する。

 6月には8000万人の顧客を持つ中国最大手の保険会社、平安保険と提携。スマートフォンとウエアラブル端末を使ったヘルスケアソリューションとヘルスケアアプリを開発し、中国でサービスを提供する計画だ。

 Samsung社はかねてモバイルヘルスケアに力を入れていながら、これといった成果がないと韓国メディアは評価してきた。今回の特許申請やMedtronic社との提携を受け、各社は「いよいよSamsungが動きだした」、「Samsungは自前主義を捨て、世界中の企業と手を結んでモバイルヘルスケア事業を拡大しようとしている」などと大きく報じた。Samsung社の姿勢の変化に、高い注目が集まっている。



By 趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」
日経デジタルヘルス
 -Original column

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *