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韓国で4月23日に封切られた米映画「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン(アベンジャーズ2)」が大きな話題になっている。韓国映画振興委員会のデータベースによると、アベンジャーズ2の観客数は5月8日時点で900万人を超え、最短最多観客動員記録を更新した。アベンジャーズ2の韓国内の興行収入は5月10日時点で約600億ウォン(約66億円)、北米に続く2位に位置している。
アベンジャーズ2は2012年に公開され世界中で大ヒットした「アベンジャーズ」の続編。米国のコミックが原作で、スーパーヒーローが地球を救うストーリーである。米マーベル・スタジオズが製作を、ウォルト・ディズニー・スタジオが配給を担当している。日本では7月4日に公開が始まる予定だ。
アベンジャーズ2と競合するのを避けるため、4月末から5月初めにかけて封切となる予定だった韓国映画はすべて5月中旬に延期された。封切の4月23日には全国にある2281のスクリーンのうち約76%、1731スクリーンがアベンジャーズ2を上映した。5月10日時点でも70%近くのスクリーンがアベンジャーズ2を上映している。
アベンジャーズ2が韓国でここまで多くのスクリーンを確保できたのには、2つの理由がある。1つは、2億5000万ドル(約300億円)を超える巨額の製作費を使った有名な映画であること。さらに大きな理由は、2014年3月30日から4月14日までソウルでロケを行い、注目を集めたからだ。
アベンジャーズ2のソウル・ロケでは、交通量の多い漢江の橋(麻浦大橋と清譚大橋)を12時間近く通行止めにした。市内を走るバスはバス停の位置を変えて迂回運行。ソウル中が渋滞に苦しんだ。地下鉄は撮影現場近くの駅は通過。ソウル市民は不便を我慢するしかなかった。
韓国観光公社とソウル市は「ソウルがアベンジャーズ2のロケ地になったことで得られる経済効果」を盾に、市民生活より映画撮影を優先した。韓国メディアは、いつどこで撮影が行われるのかを連日報じた。SNSは、撮影の目撃談で大きく盛り上がった。当時は北朝鮮のミサイル発射よりアベンジャーズ2のソウル・ロケの方が重要なニュースとして扱われるほどだった。(関連記事「映画「アベンジャーズ2」のソウル・ロケで韓国が大騒ぎ」)
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