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5月15日付の東亜日報が面白い記事を掲載した。「『俳優ぺ・ヨンジュン氏が5月14日に結婚発表しのたは、一部メディアが同日に報道した政治ニュースから人々の目をそらすため』という陰謀説がSNSやオンラインコミュニティーに広がっている」という内容。熱愛がメディアに漏れたわけでもないのに、ペ・ヨンジュン氏本人が秋に結婚すると発表したのには裏がある――というわけだ。
実際にSNS上では「ヨン様の突然の結婚発表はこのニュースを隠すためだ」として、セウォル号大惨事を起こした船舶会社の所有主と政府の癒着を疑う5月14日付メディアオヌルの記事へのリンクが数多くはられていた。
メディアオヌルは5月14日、「株式会社アヘ」に対して、政府が「創造経済特別資金」の名目で100億ウォン(約11億円)近いお金を融通していたと報じた。アヘはセウォル号大惨事を起こした船舶会社の所有主である故ユ・ビョンオン会長が経営していた別の会社で、塗料の製造開発を専門としている。
メディアオヌルは、韓国産業銀行(韓国政府が株を100%所有する銀行)がアヘに対して行った与信の内訳を入手したとして公開した。この資料によると、2013年7月にアヘは産業銀行を通じて、60億ウォン(約6.6億円)を借りている。それも、基準金利より0.8%低い特別金利でだ。また、韓国技術保証基金、韓国輸出入銀行、韓国貿易保険公社も「創造経済特別資金」としてアヘに融資したり、創造経済関連の資金を受け取れるよう保証人になったりした。その金額は合わせて33億ウォン(約3.6億円)に上る。
さらにメディアオヌルは、「株式会社アンディーン」も2014年4月、「創造経済特別資金」名目で韓国産業銀行から20億ウォン(約2.2億円)を借りていたと報道した。同社は海洋事故での救助を専門とする会社である。セウォル号大惨事の際に、単独で救助活動を行うとして米軍や消防の支援を断り、結果として一人も救助できなかったことで非難を浴びた。
アンディーンはセウォル号大惨事救助に携わった費用として、海洋警察に約81億ウォン(約8.9億円)を請求した。海洋警察はいったん約25億ウォン(約2.7億円)を支払った。しかし、その後の検察の捜査で救助費用を水増し請求していたことが発覚。検察は「アンディーンは海洋警察と癒着し、救助より利権を追求した」と発表した。
メディアオヌルの報道により、韓国内では次のように疑う声が広がった――創造経済特別資金が本来の目的とは関係なさそうな企業に流れたのは政府と癒着関係にあったから。その一例としてアヘのケースがあり、同社が政府との癒着を盾に長年安全基準を守らず船舶を運行してきた結果、セウォル号大惨事が起きたと見るわけだ。
そして、それを揉み消すために政府とメディアが一緒になってペ・ヨンジュン氏の結婚発表を大々的に報道し、人々の視線を芸能ニュースにそらそうとしている――SNSやオンライン掲示板に、こうした書き込みがあふれた。
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