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6月19日付の米ワシントンポストが、米国のハーバード大学とスタンフォード大学を巻き込んで騒ぎになった、韓国人少女の虚偽合格事件を報じた。(関連記事:Harvard-Stanford admissions hoax becomes international scandal )
この事件は6月2日、中央日報米州版が「韓国人天才少女」を紹介したことから始まった。記事の内容は以下のようなものだ。
両大学は、この韓国人少女を自分の大学に通わせるため、それぞれの大学に2年ずつ通い、本人が選んだ大学で卒業資格を得られるよう特別な便宜を図ることにした。ハーバード大学はこの少女に6万ドルの奨学金を支給すると決めた。
フェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏がこの少女に電話し、少女の数学の能力を称え、同社のプロジェクトを手伝ってほしいと提案した。名門大学の数学教授らが少女の天才性を認めて指導したいとメールをしてきた。
6月4日から、「韓国人天才少女」の話を韓国メディアが一斉に後追いした。どの大学を卒業したのかを重視する学歴社会の韓国で、ハーバード大とスタンフォード大に同時に合格するというのは、読者が喜ぶニュースだからだ。ハーバード大やスタンフォード大に確認することなく、中央日報米州版の報道を鵜呑みにして紹介し始めた。
6月5日には少女本人が自ら韓国のラジオ番組に出演し、「ハーバード大とスタンフォード大が特別に、私の同時入学を認めた」と話した。本人が言うのだから間違いないとして、韓国中が天才少女の話に沸いた。
確認することなく後追い報道
しかし、その直後から米国の韓国人オンラインコミュニティで「2つの大学に同時入学するなんてあり得ない」「本人が主張する受賞歴を検索したところ嘘だった。大学合格も嘘の可能性が高い」という疑惑が出始めた。
韓国のキョンヒャン新聞が、ハーバード大とスタンフォード大に確認したところ様々な虚偽が発覚したと6月10日に報道した。この記事によると、少女が韓国メディアに見せた合格証明書は偽造されたものだった。複数の大学に同時入学できる制度は存在しない。名門大学の数学教授らから送られた電子メールもすべて偽造だった。
中央日報は6月11日、「事実確認をせず報道し読者を混乱させた」として、誤報を認め謝罪した。東亜日報と朝鮮日報も同日、この後を追った。
この少女の父親は6月11日、「事実ではない内容で物議を醸して申し訳ない」と謝罪した。少女の家族は6月12日、米国を発ち韓国へ帰国した。
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