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韓国メディアは6月26日、日本で死刑が執行されたことを一斉に、詳しく報道した。
- 要点は、
- 闇サイトで出会った3人の男が女性を残虐な手段で殺した
- 被害者の母親が犯人を死刑にすべきと訴え、5年間で33万人の署名を集めた
- 名古屋地裁は、被害者を直接殺害した犯人に死刑を宣告した
- 日本の裁判所は母親の訴えを受け、死刑に関する暗黙のルールを変えた。従来は3人以上を殺害した犯人にだけ死刑判決を下していた
- 今回の死刑執行は、安倍政権(第1次を含む)において22番目である
- 国際人権NGO アムネスティは日本の死刑執行を批判している
日本の死刑執行を報じるある記事のコメント欄には6000件を超える書き込みがあった。そのほとんどが、死刑の執行に賛成する内容だった。
「犯罪者にも人権があるという人がいるが、人間であることを放棄した犯罪者に人権はない」
「人権団体が主張する死刑廃止、人命尊重は美しい話だが、娘を奪われた母親に対してそんな話をするなんて、被害者に対する侮辱だ」
「誤審があり得る、死刑に犯罪を抑止する効果はない、という理由で廃止を訴える人がいるが、私が払った税金で凶悪犯を食べさせていると考えたら怒りが込み上げてくる」
「韓国は犯罪者に寛大で、理解できない」
殺人犯は生き続け、遺族は苦しみ続ける
韓国にも最高刑として死刑が存在する。韓国の裁判所は過去に、連続殺人やバラバラ殺人などの凶悪犯に死刑を宣告してきた。2015年6月時点で死刑囚は57人いる(全員が男性)。しかし1997年12月を最後に、韓国政府は死刑を執行していない。中には、死刑を執行しないまま22年近く収監されている死刑囚もいる。
6月27日付の朝鮮日報は、死刑執行を訴える犯罪被害者遺族の声を紹介した。2004年に21人を残虐に殺害した連続殺人犯、ユ・ヨンチョルによって長兄を殺されたアンさんの一家では、事件のショックで2人の弟が自殺。残った家族もうつ病を患い病院に通っている。韓国の裁判所は2005年、ユ・ヨンチョルに死刑判決を下したが、死刑はいまだに執行されていない。
2007年に女子小学生2人が拉致殺害される事件で娘を亡くした父親は、ショックのあまりアルコール依存症になり2014年に亡くなった。この事件の殺人犯にも死刑が宣告されたが、いまだ執行されていない。娘と夫を亡くした母親は「私は家族を失ったのに犯人は生きている。なぜ犯人を許さないといけないのか」と訴えた。
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