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8月2日、韓国の新聞やテレビニュースが振り込め詐欺に関するニュースを一斉に報道した。海外に拠点を置く振り込め詐欺集団を韓国警察が一斉に逮捕したことや、振り込め詐欺グループを暴力団と同じ扱いにし、処罰をより厳しくするよう検討していることなどを報じた。
韓国警察は同日、韓国人を対象に振り込め詐欺をした犯行グループ41人を逮捕した。韓国の消費者金融会社を名乗り、融資保証金名目で39人から約7000万円を騙し取った疑いだ。
韓国警察はこの振り込め詐欺犯行グループに対し、詐欺罪に加え「犯罪団体を組織した罪」も問うことにした。詐欺罪は懲役10年以下で済むが、犯罪団体を組織した罪を加えると懲役15年以下になる。犯罪団体を組織した罪で加重処罰するかどうか、最終的には裁判所が判断するが、韓国世論は振り込め詐欺の処罰を厳しくすべきという警察に賛同する雰囲気だ。
韓国警察は同日、犯罪情報を集めた刑事司法情報データベース(Korea Information System of Criminal Justice Services)内に、振り込め詐欺専門のカテゴリーを設けたことも公表した。今までは詐欺のカテゴリーに一緒に登録されていた。犯行に使われた口座番号や電話番号を入力すると、関連した過去の犯行情報を検索できるので、余罪を追及しやすくなるという。
また、犯行グループごとに警察署を指定することで、捜査の重複を避け、効率よく捜査できるようにする。振り込め詐欺は被害者が全国に散らばっている。今までは全国の警察署がばらばらに、それぞれの管轄地域で起きる事件を捜査していた。
振り込め詐欺に関する報道が盛り上がる
複数の韓国メディアが同日、銀行員の機知で振り込め詐欺の犯人グループを逮捕できた事例をいくつか紹介した。該当する銀行員らを表彰したことも併せて報じた。
韓国警察による振り込め詐欺防止キャンペーンの内容も取り上げた。同キャンペーンは「公共機関が電話で個人情報を聞くことはない」「ATM(現金自動預け払い機)で手続きしても還付金は戻らない」「振り込む前に銀行や警察に相談しよう」などと訴えている。
さらに、金融監督院(金融機関を監督する政府機関)が提供する振り込め詐欺専用相談電話や、振り込め詐欺の手口や犯人の声などを詳しく紹介するサイトも紹介した。
地上波のSBS(ソウル放送)のニュースは同日、振り込め詐欺犯に口座を提供した人も損害賠償の責任があるとの判決が出たと報じた。裁判所は、振り込め詐欺に積極的に加担しなくても、詐欺ができるよう口座を貸しただけで犯罪になると断じ、口座を提供した人物に対して被害額の30%を賠償すべきと命じた。
今年1月の最高裁の判例では、口座を貸しただけでは犯罪にならなかった。その後韓国の銀行が、「他人に口座を貸した場合、損害賠償の責任がある」という文章を約款に入れたことが判例を変えるきっかけになった。さらに金融監督院は6月から、他人に口座を貸した人を2回以上摘発した場合、ブラックリストに載せ、損害賠償だけでなく7年間金融取引をできなくする措置を取るようになった。
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