「韓国スマートヘルスケア最前線」Samsungが「睡眠」参入、センサーと家電で快眠環境

韓国Samsung Electronics社は「IFA 2015」(ドイツ・ベルリン)会期前日の2015年9月3日、「In Sync with Life」をテーマに同社のIoT関連製品を公開するプレス向けイベントを開催。2014年から開発を進めてきた非接触型睡眠センサー「SLEEPsense」を初披露した。2015年内に韓国をはじめ世界各国で発売する予定で、価格は未公表だ。

 SLEEPsenseは、厚さ1cmほどの手のひらサイズの円盤で「卓球のラケットのような形をしている」(韓国メディア)。ベッドのマットレスの下に置いておくだけで計測可能だ。ユーザーの睡眠中の脈拍や呼吸、体動、睡眠周期を測定し、睡眠のパターンを解析する。厚くないのでマットレスの下にあっても違和感を感じることなく、通常の状態で眠れるという。


SLEEPsenseの本体(写真提供:Samsung Electronics社)
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 SLEEPsenseでは、ユーザーの睡眠の質を分析し、よりよく眠れるようにスマートフォン・アプリでアドバイスする。スマートフォンとはBluetoothで接続。アプリでは睡眠時間のほか、睡眠中に呼吸が止まるといった異常呼吸や脈拍もチェックできる。睡眠の質向上に向けては、米Harvard University 医学部教授のChristos S. Mantzoros氏のチームからの医学的アドバイスがもらえるという。データが蓄積されていくことで、アドバイスの精度はより高まっていく。

 SLEEPsenseは、Samsung社製の家電とリアルタイムに連動し、ユーザーが熟睡できる環境を維持する。例えば、エアコンはSLEEPsenseの測定データに応じて、快眠できるよう温度設定を変える。テレビは、スリープモードにしなくても、ユーザーがテレビをみている途中で眠れば自動で電源を落とす。今後は、音を360度方向に出し、どの方向からも高音質のサウンドを楽しめる同社のモバイルオーディオとも連動させる予定。SLEEPsenseの測定データと音楽を組み合わせ、一人一人に合った快眠環境を提供する。照明やカーテン、コーヒーメーカーなど、眠りと目覚めに関係する製品との連動も計画しているという。

人生の「1/3」に向けた製品

 SLEEPsenseは、ウエアラブル端末を身につけるのが面倒と感じやすい高齢者や、なかなか寝付けなかったり、眠りが浅い、長時間寝てもすっきりしないといった悩みを抱える人に、最適の睡眠環境を提供することをうたう。測定データは電子メールで家族にも送信できるので、一人暮らしの高齢者や留学中の子供の睡眠をチェックするといった用途にも適するという。

 SLEEPsenseには米FDA(食品医薬局)の承認を得たイスラエルEarlySense社製の脈拍・呼吸センシング技術を搭載。Samsung社が2014年4月に2億米ドルで買収した米Smart Things社のIoTプラットフォームも活用した。家電をつなげてアプリから制御可能とする技術である。

IFA2015前日のプレスイベントに登壇したイ・ユンチョル氏
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 開発に携わったSamsung社 生活家電事業部 常務のイ・ユンチョル氏は「人生の3分の1は睡眠時間。にもかかわらず従来は、人が起きている時間に健康を維持するためのウエアラブル製品ばかりだった」と動機を述べ、SLEEPsenseの特徴は「データの信頼度が非常に高い」ことだと強調した。同社の報道資料によれば、SLEEPsenseの測定データの正確度は95~97%という。

 同社 生活家電事業部 副社長のパク・ビョンデ氏は「SLEEPsenseはSamsung社がIoTの世界に本格的に足を踏み入れたことを知らせる革新的製品。我々は、生活が楽になるだけでなく健康になれるようサポートするIoT製品を発売し続け、市場をリードする」とコメントした。生活家電事業部社長のユン・ブグン氏は、SLEEPsenseは各種センサーの中で「もっとも有用なセンサーになるだろう」と胸を張った


 [2015年09月21日]

By 趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」

日経デジタルヘルス

 -Original column

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