.
6月中旬、韓国のあるマンションでは、公衆電話ボックスが人助けに役立ち大きな話題になった。
団地入り口のマンホールで水道管を交換する作業をしていたところ、突然水道管が破裂してあっという間にマンホールの中に水が流れ、中にいた作業員が溺れた。住民らが作業員を引き上げた時には既に息がなく、心臓マッサージをしても反応がなかった。しかしそこで誰かが、団地内の公衆電話ボックスにあるAED(自動体外式除細動器)を思い出した。
公衆電話のAEDで人命救助
住民らは、事故現場に向かっている救急隊と電話で話しながらAEDを作動。作業員の心臓は再び動き始めた。その後すぐ救急隊が到着し、作業員は一命を取り留めた。この一部始終はマンション団地の防犯カメラに残され、それがテレビのニュースで放映されて話題になった。公衆電話ボックスをAED保管場所として使ったおかげで、いつでも誰でもAEDを使うことができたのが人名救助につながった。
韓国の公衆電話ボックスを運営するKTリンカース社によると、2016年6月時点で韓国全土にある公衆電話ボックスの数は6万9千個余り。2006年の11万3000個から、4割近く減ってしまった。公衆電話ボックスは、ポケベル全盛期の90年代には56万個にまで増えた。その当時は駅前に公衆電話がずらりと並び、人で混んでいた。財布にはいつもテレホンカードが入っていたものだ。
日本と同じく韓国でも、携帯電話が普及してから公衆電話の利用者数が激減。今では公衆電話の6割で、月間売り上げが1000円に届かないという。そのため、公衆電話ボックスが撤去される地域も増えている。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
2016.7.7
-Original column
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/549762/063000097/