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2017年2月21日、グーグルは記者会見を開き、韓国に設立して2年が経過した「グーグルキャンパスソウル」でのスタートアップ支援成果と、韓国のスタートアップ事情について説明した。日本では、アマゾンがスタートアップの商品を専門的に扱うストア「Amazon Launchpad」をオープンして話題になっているが、韓国にはまだアマゾンが進出していないこともあり、「スタートアップと言えばグーグル」のイメージが強い。
同キャンパスは2015年5月、ソウル市の南側にオープンした。朝9時から夜10時まで、誰でもパソコンを持ち込んで仕事をしたり打ち合わせをしたりと自由に使える。カフェとオフィス用設備、スタートアップのための有料スペースが設けられている。
スタートアップ関連イベントを多数開催
オープンから今まで同キャンパスに入居したスタートアップは17社。総額170億ウォン(約17億円)の投資を受けて、巣立っていった。オープンスペースを利用するには無料の会員登録が必要だが、現在2万1000人が会員になっている。カフェの飲み物はコーヒーが1杯約300円で、周辺にあるほかのカフェよりも割安の値段になっている。
同キャンパスは、さまざまな人が起業またはスタートアップの一員になれるチャンスを与える場として、大きな人気を集めている。それは、スペースを提供するだけではなく、年間190回以上スタートアップ関連イベントを開催したからだ。子育て中の女性を対象にしたスタートアップ育成プログラム「Campus for Moms」や、韓国内のスタートアップが採用説明会を開く「Campus Recruiting Day」など、話題になったイベントもある。
グーグルキャンパスソウルは2017年5月より、新しいイベントとして、スタートアップが一回り成長するために必要な収益化戦略、マーケティング戦略、クラウドコンピューティング活用といった実務を教える予定だという。教えるのはもちろんグーグルの社員で、ネットビジネスをよく知る専門家らである。
さらに、スタートアップがグーグルの社員を2週間無料で雇えるイベントも計画している。グーグルの社員と一緒に、スタートアップが抱えている問題を解決したりコンサルティングしてもらったりできる貴重なチャンスでもある。
またグーグルキャンパスソウルはスペースに限りがあるため、入居できなかったスタートアップのために、グーグルのパートナー会社のオフィスを間借りできるようにもするという。世界各国にあるグーグルキャンパスにオフィスを構えて海外のスタートアップと交流もできる「Campus Exchange」も、より幅広く実施する。
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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
2017.2.
-Original column
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/549762/022200133/?itp_leaf_index