2018年2月9~25日の日程で、平昌五輪が開催されている。平昌は2010年冬季五輪の開催誘致から始まり、3度目の正直で2018年の冬季五輪開催地に選ばれた。それだけに、韓国人にとって平昌五輪は「ついにこの日が来たか!」というぐらい開催が待ち遠しかった。
平昌に行ってみると、寒い。全ての川がカチカチに凍っている。韓国のテレビでレポーターが「脳が凍るほど寒い」と言っていたのが印象的だったが、それは大げさではなかった。オリンピックスタジアムに近づくほど風が強く、今までに体験したことがない強風で体が勝手に動いてしまうほどだった。
平昌では五輪競技を観戦するのも楽しいが、平昌が目指したITオリンピックを体験できる場所もたくさんあるため、展示場を回るだけでも楽しかった。平昌五輪の競技場は雪の上で行う種目は平昌市、氷の上で行う種目は江陵市、と車で50分ほど離れている。平昌市と江陵市にはそれぞれ、韓国のロボットや地上波4K放送、5Gテストサービス、VR(仮想現実)、AI(人工知能)通訳といったITサービスを体験できる。
特に興味深いのは五輪期間中しか体験できない、5Gテストサービスだった。5Gは超高速、超連結、超低遅延が特徴の新しい通信ネットワークである。現在のLTEよりも20倍以上速く、より大量のデータを送受信できるため、韓国のキャリアは「データがガソリンの役割をするインダストリー4.0の時代には欠かせないインフラ、通信の高速道路」と宣伝している。
5Gは何がすごいのか?
5Gで何ができるのか。分かりやすく面白いのは、競技を中継する「インタラクティブ・タイムスライス」「オムニポイントビュー」「シンクビュー」「360度VRライブ」といったサービスだった。
テスト用の端末にはサムスン電子のタブレットPCを使っていた。5Gテストサービスのため、臨時の電波承認をもらったタブレットを手作業で100台ほど作り、それをソウル、平昌、江陵に置いた。試作品だからかとても重かった。
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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
NIKKEI X TECH
2018.2.
-Original column
http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00167/021600001/