この冬、韓国の地上波テレビ局はロボット開発者が主人公の連続ドラマを2本も放映している。1つは『ボーグマム』というタイトルで、主人公が子供の教育の世話をしてくれるロボットが欲しくなり亡き妻そっくりなAI搭載ヒューマノイドを開発。ヒューマノイドは教育ママ友の間でもまれながら人間の世界を学習するものの、融通が利かず嘘がつけないロボットらしさで嫌味な教育ママたちをやっつけ子供を守り、主人公とも恋に落ちるというストーリー。

 もう1つは『ロボットじゃない』というタイトルで、人間嫌いの財閥御曹司とロボット開発者、ロボット開発者の元恋人でヒューマノイドの顔のモデルになった女性が登場する。ロボット開発者は御曹司に投資してもらうため開発中のヒューマノイドを披露しようとするが直前に故障、モデルである元恋人にヒューマノイドのふりをするよう頼んだことから始まる物語である。

 ロボット開発者が見たら「あり得ない!」とつっこまずにはいられない場面だらけだが、ドラマとしては人気があるようだ。2本のドラマに共通しているのは、AIを搭載したヒューマノイドに人間の世界を学習させながら、逆に主人公が人間について考えるようになり成長するというところである。韓国では子供からシニアまでAIやロボットに興味を持つ人が多いことから、ドラマの題材になったようだ。

 韓国政府はここ数年、国をあげてロボット産業を盛り上げようとしている。2017年12月11日には、平昌冬季オリンピックの聖火リレーが大田市のKAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology)校内を一周した。そのとき聖火ランナーとして参加したのが、KAIST教授のJun Ho Oh(オ・ジュンホ)氏と彼の研究室が開発した高さ1.2mで重さ55kg、41個の関節を持つ2足歩行ロボット「DRC-Hubo」と、高さ2mで重さ270kgの搭乗型2足歩行ロボット「FX-2」である(図1)。平昌冬季オリンピック・パラリンピック組織委員会によると、ロボットが聖火ランナーになったのはオリンピック史上初めてだという。

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