韓国大型新人「TREASURE」 メンバーの“ケミ”が人気の秘訣

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韓国の人気アイドルグループ「BIGBANG」や「BLACKPINK」の弟分として以前から注目されていた12人組ボーイズグループ「TREASURE」が8月7日デビューを果たした。韓国大手芸能事務所YGエンターテインメントがボーイズグループを発表するのは5年ぶり。満を持してデビューした同グループは、韓国やアメリカなど世界中の音楽ファンの注目を集めている。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

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 SMエンターテインメント、JYPと並び韓国の三大芸能事務所の一つであるYGエンターテインメントからデビューしたボーイズグループ「TREASURE」。同事務所としては初の日本人メンバーの起用で、メンバーの年齢は15才から21才までと若く、メンバー数は12人と過去最多を誇る。メンバーの多様性や規模と言い、グローバルに活躍できるアイドルグループに育てようという事務所の意気込みが見える。

 TREASURE は、8月7日のデビューと同時にデビュー曲『BOY』のミュージックビデオを公開。記念イベントとして、K-POPアイドルを楽しめる動画アプリ「VLIVE」から約2時間に及ぶライブ配信『THE FIRST STEP : CHAPTER ONE’ DEBUT COUNTDOWN LIVE』も行った。VLIVEにあるTREASUREのチャンネルから事前に質問を募集し、メンバーが自己紹介からデビューまでの道のり、アルバムのことなどをファンに語るという内容だ。日本人メンバー4人は韓国語が堪能で、時々日本語訛りの韓国語になるところがとても可愛いかった。

 ライブ配信は、開始から30分で視聴者が100万人を超え、最終的には300万人以上が視聴した。それだけでなく、米国ビルボード「ソーシャル50」チャートでは19位にランクインし、K-POP新人グループとしては最短の記録を更新。「TREASURE」YouTubeチャンネル登録者数も既に193万人を突破するなど、世界中の音楽ファンが注目している。ライブ配信では、視聴者数の予想外の多さに、メンバー全員が驚きを隠せない表情で椅子から立ち上がる場面もあった。

 YGアイドルのイメージとしてよく言われるのは、「スタイリッシュでシック」、「清純派というよりは気だるい感じ」、「個性豊か」などだが、TREASUREはこれまでのイメージとは異なり、パワー溢れる爽やかな少年らしさが際立っている。デビューからそれほど日が経っていないが、韓国メディアは、「いつものYGとは少し違うが、トレンディなグループ」と評価した。

 ライブを視聴した韓国ファンの間では、12人のメンバーから数人を束ねて、「ギャグ組」、「末っ子組」、「紙人形組(痩せているから)」など色々なニックネームを付けるのが流行っている。それは当然、メンバーの“ケミ”が良いからだ。ケミは、「ケミストリー」の略語で、韓国では「ケミがいい=相性がいい」という意味で使われる。

“ケミ”が良いのも当然だ。TREASUREは2018年、YouTubeやVLIVE、ケーブル放送局JTBC2で放映されたサバイバルオーディション番組『YGの宝石箱』で選ばれたメンバー。実力だけでなくメンバーの相性の良さは既に証明済みである。練習生に選ばれると、基本的にYGが食事などの生活にかかる費用を提供し、メンバー全員で共同生活を送る。1日のスケジュールも超多忙で、歌やダンスだけでなく外国語やスピーチ、演技も学ばせ基礎体力を作るためのトレーニングやメンタルヘルスケアも行った。練習生一人当たり年間1億ウォンはかかるそうだが、これは投資のため練習生が費用を返済する必要はないという。

 YGの練習生であること自体、ビジュアルや歌唱力、ダンスが優れている証拠と言えるが、厳しい訓練をやり遂げ、メンバー同士競い合いながらも共に成長した彼らは、まさに宝石の中の宝石と言える。番組放映後、いつデビューするのかとファンは心待ちにし、デビュー日が決まった時は、韓国経済紙まで「ついにYGが宝石箱を開けた」、「宝石箱からTREASUREが飛び出た」と報道したほど。BLACKPINK とTREASUREの連続ヒットでYGの株価も上がり続けている。

 TREASUREの12人は、並々ならぬ注目と期待を集めているだけに、プレッシャーに耐えられるか心配になるほど。だが、デビュー記念記者懇談会では「BIGBANGの弟分と呼ばれるのはとても光栄でもっと頑張ろうというモチベーションになる」、「グローバルアイドルになって日韓両国で新人賞を獲りたい」、「歴史に名を残すグループになりたい」と意欲を見せ、「全くプレッシャーは感じていない」とも話していた。元気いっぱいの夢見る少年12人を、今後応援せずにはいられなくなるだろう。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。


NEWSポストセブン》

2020. 9.

-Original column

https://www.news-postseven.com/archives/20200901_1591640.html?DETAIL

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