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日本でも『愛の不時着展』が開催されるなど、引き続き話題を集めている韓国ドラマ『愛の不時着』。年明け早々飛び込んできたのが、このドラマで主演を務めたヒョンビン(38才)とソン・イェジン(38才)の熱愛ニュース。世界中のドラマ視聴者が2人の恋の行方を見守っていただけに、報道から約1か月経った今も韓国のSNSやテレビを賑わし続け、2人の好感度がさらに上昇する人気ぶりだという。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんがリポートする。
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ヒョンビンとソン・イェジン、同い年のスターカップルの誕生に、韓国のSNSでは「お似合いカップル!」「やっと2人が熱愛を認めて嬉しい」といった祝福の声で溢れている。筆者も、2人の事務所が発表した熱愛を認めるコメントを読むうち、ドラマのクライマックス、スイスの草原で2人が見つめ合い微笑むシーンを思い出し「なんて素敵なカップルなんだろう」と嬉しい気持ちだ。熱愛報道後、Netflixでは再びドラマの人気が急上昇し、アジア各国で総合ランキング上位になった。
ヒョンビンとソン・イェジンの熱愛報道は今回で4度目。1度目は2018年9月に映画『ザ・ネゴシエーション』で共演した後、2度目は2019年1月に米ロサンゼルスのスーパーで2人が一緒に買い物している写真がSNSに投稿されたとき、3度目は2020年1月の『愛の不時着』放送開始時だ。度々熱愛が取り沙汰されては、これまで双方とも否定してきたが、4度目となる今回、満を持して交際を認めたのだ。
2020年1月に熱愛が取り沙汰されたときは、韓国では結婚説や破局説などさまざまな情報が拡散し、ワイドショーやSNSなどではしばらくの間この話題で持ち切りだった。今回も交際を認めたことで、韓国放送局KBSの芸能番組では、「結婚しそうなスターカップル1位」として2人の特集が組まれるなど前回を上回るお祝いムード。スターの熱愛が発覚すると、ファンが離れたり人気が落ちるのが普通だが、2人の場合はそれをものともせず、今回の交際宣言で逆に好感度を上げている印象だ。
1月23日、熱愛を認めてから初めて、ヒョンビンがファンの前に姿を現した。韓国エンターテインメントマネジメント協会が主催した「2020 APAN STAR AWARDS」で、『愛の不時着』での演技や視聴率、知名度、好感度などが認められ大賞を受賞したのだ。受賞の感想を述べる際、ソン・イェジンのことはあえて触れないまま終わるだろうと予想していたファンが多かったが、ヒョンビンはそれを気持ちよく裏切った。
ヒョンビンは、『愛の不時着』を視聴した全世界のファンや監督、俳優らに感謝の言葉を述べた後、「ジョンヒョク(ヒョン・ビン)にとってはあまりにも最高のパートナーだったユン・セリ(ソン・イェジン)。イェジンさんが上手に創り上げたユン・セリというキャラクターのおかげで、リ・ジョンヒョクはよりかっこよく息ができました。この場を借りて本当にありがとうと言いたいです」と、淡泊ながらもソン・イェジンの演技を称えるコメントで愛情を表現した。
ありきたりの「サランヘヨ(愛しています)」ではなく、恋人であり役者としてのソン・イェジンの実力を認め尊重するコメントで締めくくったことがかっこよすぎると、韓国メディアやSNSでは称賛の嵐である。このコメントの中に、2人の関係が表れているのではないだろうか。お互いの仕事ぶりを認め相手を思い配慮する大人の恋愛が垣間見えたことで、2人の好感度はますます上昇した。
2021年は、ソン・イェジンの俳優デビュー20周年でもある。1月11日のソン・イェジンの誕生日には、誕生日とデビュー20周年のお祝いに熱愛報道まで重なり、ファンの愛情が爆発した。ソン・イェジンのインスタグラムには、広いリビングをぎっしり埋め尽くしたファンからの花束やケーキなどの写真が投稿され、ソウルの商業施設「COEXMALL」の大型スクリーンには、ファンによる大々的なお祝い広告も掲載された。ソン・イェジンがいつも寄付している児童施設や病院などにもファンからの寄付が集まるなど、彼女の人気ぶりが改めてうかがえた。
この20年間、ソン・イェジンと共演者の熱愛報道は何度かあったが、交際を認めたのはヒョンビンが初めて。かつてソン・イェジンがバラエティー番組に出演した際、「(恋人を明かして堂々と交際する)「公開恋愛」をする芸能人が増えているが、自分は負担が大きいのでしたくない」と話していただけに今回交際を認めたのは意外だったが、それだけ2人の思いが真剣ということなのだろう。
韓国では、2022年に2人は結婚するのではないかと報じるメディアもあった。ヒョンビンは2011年のインタビューで、「芸能人の生活は不規則なのでこの職業を好きになってくれる人はいても隣で理解してくれる人はいないようだ」と話したことがある。また不思議なことに、ソン・イェジンも2011年、「俳優という職業は私の生活の延長線上にある。それを理解して配慮してくれる人がいい」とインタビューで話していた。2人は交際を始めて以降、ヒョンビンの海外の長期滞在など頻繁に会えていたわけではないようだが、それでも2人の絆はとても強いという。お互いを理解してくれる相手に出会ったからかもしれない。
【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。