EV電池三国志、中国勢独走に韓国3社追随 日本は地盤沈下

.

世界で電気自動車(EV)の販売が急拡大するのに伴い、EV搭載バッテリー市場の競争が激しくなっている。シェア首位を独走する中国勢に対し、韓国バッテリー3社はシェアを守りながらすぐ後ろを追いかける。日本は中韓の攻勢に対し、地盤沈下が目立ってきた。

 韓国のエネルギー市場専門の調査会社SNE Researchは2021年9月29日、2021年1月〜8月期の世界市場で登録されたEV搭載バッテリーのメーカー別シェアを公表した。首位は中国・寧徳時代新能源科技(CATL)であり、シェアは30.3%と前年同期から6.9ポイント増やした。2位は韓国LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)である。シェアは24.5%で同1.5ポイント増だ。韓国勢はこの他、韓国SK on(韓国SK Innovationから21年10月に分社)がシェア5.4%で5位に、韓国Samsung SDI(サムスンSDI)がシェア4.9%で6位に入った。韓国バッテリー3社が、中国勢の独走を追いかけている様子が見える。

 気になるのが日本勢のパナソニックだ。同社のシェアは前年同期から7.5ポイント減の13.3%とジリジリと中韓の勢いに押されている。SNE Researchによると21年1月〜8月期に登録されたEV搭載バッテリーの総量は162.0GWhであり、前年比約2.4倍に増えたという。同社は、EV市場において米Tesla(テスラ)の独り勝ち時代が終わり、群雄割拠の地殻変動が起きていると分析している。中韓勢はこの地殻変動の波をうまく捉えて成長につなげている。その一方、パナソニックはその波を捉えきれていないのかもしれない。

 韓国内でも、パナソニックとトヨタ自動車の共同出資会社であるプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)が、2022年までEVバッテリー生産費用を半分に減らす方針や、トヨタ自動車が2030年までにバッテリー開発と生産に1.5兆円を投資することについて大きく注目している。しかし韓国メディアでは、テスラとトヨタ自動車ばかりに集中するパナソニックについて、今後のEV搭載バッテリー市場のシェア拡大につながるのか疑問視する記事が目立つ。EV搭載バッテリーの生産費用を減らす工夫は、既に韓国勢も取り組んでいるからだ。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2021. 10.

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00045/

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *