半導体不況は長期化も、サムスン電子とSKハイニックスは需要反転に備え

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メモリー半導体の需要が大幅に減少している。世界的なインフレと不況による民間消費の冷え込みによって家電やITデバイスの売れ行きが落ち込んでいるからだ。世界半導体市場でシェア1位の韓国Samsung Electronics(サムスン電子)と同3位のSK Hynix(SKハイニックス)も影響は避けられない。両社は「ピンチはチャンス」と捉え、需要反転に向けた備えを続ける。


サムスン電子が1位から2位に転落予想、TSMCが世界首位に

 2022年8月の韓国半導体輸出は、26カ月ぶりのマイナス成長となった。韓国産業通商資源部(省)の統計によると、2022年8月の半導体輸出は109億6000万米ドル(約1兆5900億円)で前年同月比で6.8%も減少した。システム半導体(非メモリー)の輸出が増加したことで、16カ月連続の100億米ドル(約1兆4500億円)超えは維持したものの、メモリー半導体の単価下落によって全輸出額は減少した。

 サムスン電子が注力する、スマートフォンやノートパソコンなどに搭載するCMOSイメージセンサー(CIS)市場も雲行きが怪しい。

 米国の調査会社であるIC Insights(ICインサイツ)は2022年9月15日、2022年のイメージセンサー世界市場について、出荷量は前年比11%減少し、売上高の規模は同7%減少するという予想を発表した。実際、イメージセンサー市場世界1位のソニーと、同2位のサムスン電子の2022年4~6月イメージセンサー売上高は減少している。 ICインサイツは、在宅勤務から通常勤務に戻った会社が増えたことで、テレビ会議需要が減少。中国の長引く都市封鎖や、世界的なインフレ傾向もイメージセンサー市場に影響を与えていると分析する。

 半導体市場全体の実績が悪化する中、ICインサイツは2022年7~9月の売上高ベースの半導体市場シェアについて、台湾積体電路製造(TSMC)が1位になる見込みとした。サムスン電子が前期比19%減の182億9000万米ドル(約2兆6500億円)で1位から2位に転落し、TSMCが同11%増の202億米ドル(約2兆9200億円)で1位、米インテル(インテル)が同1%増の150億4000万米ドル(約2兆1800億円)で3位になるという。

 これまで半導体市場では、サムスン電子とインテルが1位の座を競っていた。委託生産のみのTSMCは、受注減を織り込んだとしても、サムスン電子とインテルを超える見込みという。

 韓国の半導体業界は、毎年8月末を年度末日とする米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)の業績に注目している。サムスン電子やSKハイニックスよりも先に実績を公開するため、今後の半導体市場の流れを予測できるからだ。

 マイクロンの2022年6~8月の業績は、売上高が前期比で20%近く下落し、営業利益も予想を大幅に下回る見込みという。サムスン電子とSKハイニックスも業績悪化が避けられないとし、韓国内では両社の株価が下がり続けている。韓国証券業界は、米国の中国向け半導体設備輸出制裁がメモリー半導体にまで拡大した場合、中国に生産拠点があるサムスン電子とSKハイニックスはさらに深刻な状況を迎える恐れがあるとし、メモリー半導体不況は2024年まで続く可能性があると分析した。



趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2022. 9.

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00069/

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