韓国勢が電池展示会で中国勢のお株を奪うLFPを初公開、EV需要の変化に対応

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2023年3月15日から同17日(現地時間)にかけて、韓国ソウルにある複合施設「COEX」にて、2次電池産業展示会「Inter Battery 2023」が開催された。主催は韓国産業通商資源部(「部」は日本の「省」に相当)である。「Battery Connecting To ALL」をテーマに、韓国政府の「K-バッテリー発展戦略」を担うLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)、SK On(SKオン)、Samsung SDI(サムスンSDI)の大手3社(以下、Kバッテリー3社)をはじめ、バッテリー関連の素材・原料、EV(電気自動車)、電力貯蔵システム(Energy Storage System)、バッテリーリサイクルといった幅広い分野の477社が出展した。

 今年の展示会では韓国勢が得意とする3元系ニッケル・コバルト・マンガン(NCM)電池だけでなく、中国勢が得意とするリン酸鉄リチウム(LFP)電池を初公開し、中国勢の市場シェアを奪いにいくという姿勢に注目が集まった。全固体電池のプロトタイプやコバルトフリー電池の展示もあった。


 海外勢のトレンドとしては、韓国企業との取引を望む米国やオーストラリア、インドネシア、カナダなどの自治体や団体が出展し、鉱物採掘状況や税制優遇策などに関する説明会を開いたのも印象深かった。

 駐韓米国大使館はバッテリー電気自動車(BEV)関連のフォーラムを開催。インディアナ州、オハイオ州、ミシガン州、テネシー州、ケンタッキー州の幹部らが来韓して、EVバッテリー企業の米国進出を手助けすべく、税制優遇策などをアピールした。北米で最終組み立てとなるEVを対象に補助金(税額控除)を支給する米国の「インフレ抑制法」により、韓国バッテリー企業は北米に進出せざるを得ない状況だ。その工場を自分の州に誘致しようという各州の意気込みが見られたフォーラムだった。

 駐韓オーストラリア大使館はバッテリー鉱物関連のセミナーを開催し、ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、中央政府のThe Critical Minerals Officeの担当者が自国の鉱物生産状況を説明した。韓国政府は鉱物の輸入を特定国に依存せず核心鉱物の再資源化を2022年の2%から2030年は20%に引き上げることを目標にした「核心鉱物確保戦略」を進めている。これを受けて韓国産業通商資源部はInter Battery 2023を、鉱物を⽣産する国と幅広く交流できる場にした。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2023. .3

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00082/

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