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韓国政府は2023年8月29日、2024年度予算案を議決した。この後、2023年12月の国会審議を経て確定する。注目に値するのは、1991年以来となる国家研究開発(R&D)予算の削減である。2024年度は前年度比13.9%減の25兆9000億ウォンとなった。科学技術情報通信部(「部」は日本の「省」に当たる)の説明によると、満遍なく投資するのではなく、国家戦略技術に集中投資する方向で予算を見直したという。
韓国政府は「技術主権の確立」をキャッチフレーズに、もっぱら次の分野を国家戦略技術として指定している。「半導体」「ディスプレー」「2次電池」「先端モビリティー」「次世代原子力」「先端バイオ」「宇宙航空海洋」「水素」「サイバーセキュリティー」「人工知能(AI)」「次世代通信」「先端ロボット製造」「量子」である。これらの研究に関して、2024年度予算では前年度比6.3%増の5兆ウォンを配分した。
グローバル市場をリードできるよう、より規模の大きい研究プロジェクトを推進し、海外の著名な研究機関との共同研究を支援するグローバル協力、研究インフラ投資、実証・商用化促進のための中小企業向け低利融資、若手研究者育成に予算を使い、波及効果のある成果を創出するという。
このうち若手研究者の育成には、先端分野の企業と大学が契約して、企業の採用を前提にオーダーメード型の実務教育を行う契約学科を増やしていく。修士・博士課程の学生支援も増額する。半導体に続き「二次電池特性化大学」を新設する。現在は首都圏に集中している特性化大学を地方にも拡大する。2次電池、次世代ディスプレー、バイオヘルス、航空宇宙分野は大学内に短期集中教育課程を新設する。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
(NIKKEI TECH)
2023. 9.
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