独自のフォント開発がブーム ブログの流行が後押し
韓国の10月9日は「ハングルの日」だ。その昔、文字は漢字だけで、貴族しか読み書きできないことを不憫に思い、平民も文字の読み書きができるようにしたいと、李氏朝鮮時代4代目の王様「世宗大王(セジョンデワン)」によって1443年に創製されたのが訓民正音(フンミンジョンウム)。これは母音10字、子音14字で構成されており、一字一音素の音素文字だから、外国語も本来の発音に近く表記できる。この訓民正音の現代的名称が、ハングルなのである。
ハングルのフォントは1995年、Windowsが広く使われるようになってからWebでも文書でもマイクロソフトが開発したGulim、Dotumフォントが使われている。しかし、これはハングルが持つ文字の美しさを表現できないだけでなく、非常に目が疲れるフォントだそうだ。そのせいか、韓国のポータルサイトや新聞社のネット版では、文字をより読みやすいように工夫された独自のフォントを開発し、無償で提供している。
サイトにアクセスするだけで、独自に開発されたフォントで表示される。新聞社のサイトは文字のサイズによって自動的に最も読みやすいフォントに変わるよう設定されている。分量の長い特集記事だとどうしても紙にプリントしたほうが読みやすかったが、フォント開発競争が始まってからは画面上に文字が鮮明に見えるので、読みやすくなりプリンタの使用が減った。フォント開発は資源保護にもつながるというわけか。
ソーシャルネットワークサイトやブログの流行もフォント開発を煽っている。個性をアピールするため、BGMや背景画面、さまざまな飾りつけアイテムの一つとして独特なフォントを使いたがる人が増えてきたからだ。最近のブログを見ると、読みやすいフォントもある一方で悪筆な手書きのようなものもある。何が書いてあるのかまったく理解できない暗号のようなフォントもあったりする。
韓国最大のポータルサイトであるNAVERはWeb画面を読みやすくするというナヌムゴシック体とナヌム明朝体の二つのフォントをネットで無償提供している。NAVERはフォントを一つ作るのに1億円はかかったとしながらも、Webの発展のため今後4年ほどかけて多様なハングルフォントを開発していきたいとしている。
(趙 章恩●取材/文)