韓国のネット事情 「.tv」ドメインの申請急増
“URLで判別できる”が要因に
動画投稿サイトの人気が後押し
【ソウル発】韓国で2006年夏から大ブームとなっているUCC(User Created Contents)動画投稿サイト。歌ったり踊ったりする動画から社会告発系動画、政治関連動画に至るまで、個人が投稿した動画を鑑賞するのが日常の楽しみとなってきた。代表的なサイトとしてPANDORA.TV、MNCAST、AFREECAなどがある。この手のサイトはすべてドメインを「.tv」にし、URLだけで動画サイトと分かる印象的なサイトにしようと、新規動画サイトが相次いで「.tv」ドメインを申請している。
07年1月から7月末までの韓国企業の「.tv」ドメイン申請件数は1460件で、前年同期の483件に比べ3倍にも増加している。動画投稿サイトに限らずeラーニングやショッピングサイトも動画を利用していることから「.tv」ドメインを申請するケースが増えている。通常の.comや.co.krの年間ドメイン登録費用は2-3万ウォンほどだが、「.tv」ドメインの年間登録費用は約6万ウォンと2倍に跳ね上がる。それでも覚えやすいドメインを選択するため「.tv」を選択する企業は増えていて、ドメイン管理業者のベリーサインの統計によると、「.tv」の登録延長率は07年1月時点で約70%となっており、.comや.netに比べ10%ほど高いそうだ。
「.tv」は太平洋の島国トゥバルーに割り当てられたドメインだ。韓国kr、日本jp、中国cnといった国家別ドメインの一つで、米国のドットティービーコーポレーションが00年に5000万ドルで所有権を獲得した。当時は全世界の放送局から申請が殺到すると予想されていたが、実はそれほど人気はなかった。
それが今になって注目されている理由は「TV=動画サイト」というインパクトもあるが、動画投稿サイトのビジネスモデルがそれなりの収益をあげているためでもある。
広告収入や教育関連動画の個人間売買斡旋といったポータルやeラーニングサイトに似たようなビジネスモデルが動画投稿サイトでも定着しつつある。
日本では面白いけれど収益にならないのが動画投稿と思われているが、韓国では個人が製作した動画を利用したサービスはビジネスの可能性が高いとみられている。
韓国版YouTubeともいわれている最大手のPANDORA.TVはデータセンターを日本に移し、世界に向けサービスするとも発表した。オンラインゲームに続く韓国発世界のインターネットビジネスとして動画投稿サイトが成長するのではないかと期待されている。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)