韓国の株価指数KOSPIがついに歴代最高値2000を突破した。不動産バブルで税金が重くなるとそのお金が今度は株に流れてきているため、止まることを知らず毎日株価が値上がりしている。ファンドも絶好調で、この5カ月の間に2倍になった3倍になったと騒がれる商品も少なくない。
外国人の投資も自由。日本の独身女性が韓流の次に韓国投資に目覚めたようで、株で儲けマンションを買っただの、お店を開いたなどの噂も流れている。このような株バブルの中、「皇帝」と呼ばれているサムスン電子の株も再び値上がり始めた。やはりサムスン電子は韓国の株式時価総額不動の1位であることは違いない。
サムスン電子の史上最悪な実績とリストラが始まったことが大々的に報道されている中、サムスン電子は緊急記者会見を開き、実績悪化は半導体だけで全体的に利益がよくなっていることと新入社員の採用は減らすが、リストラについては否定し、実績がよくても事業再編や人員再配置はよくあることではないかと説明した。
サムスンの税務調査も始まり、あっちでもこっちでもサムスンの記事が目立つ中、 LG電子は2007年4~6月、史上最高の実績を記録した。グローバル基準で初めて1期売上が10兆ウォンを超えた。2007年4~6月LG電子の売上は10兆4302億ウォン、営業利益4636億ウォン、前期比売上は8.7%、営業利益は1578%も増加している。特に携帯電話部門は営業利益11.6% で、サムスン電子の8%を初めて上回った。
LG電子の実績はチョコレート携帯、社員携帯、PRADA携帯と、世界市場で発売したプレミアム携帯電話の売れ行きが好調だったのと、ディスプレー事業からPDPモジュールラインを整理しTV部門での赤字が半分に減ったのも影響している。サムスン電子は家電が売れず困っているのに対し、LG電子は海外市場でエアコンをはじめプレミアム家電がよく売れ4~6月の間最高額である3兆6039億ウォンの売上を達成した。
LG電子が生まれ変わったとまで言われるもう一つの理由は、LGテレコムからLG電子の代表理事になったナム・ヨン副会長の功績にもある。本社の人員を営業に送り込ませ、海外で活躍する若手コンサルティング専門家を役員に採用し、会社の内部的な雰囲気を変えようとしている。LG電子はサムスンに比べて大人しく目立たない、地味な社員が多く、製品も大人しいものが多いと評価されていたが、今年からはかなり攻撃的になっているのも代表が変わったせいかもしれない。
LG電子の広報担当は「サムスン電子は営業利益が初めて1兆ウォンを下回っただけで危機説がながれているのに、LG電子はその半分の利益でアーニングサプライズとまで言われてしまい逆に恥ずかしい」と、1月から続けているリストラと経費節減に拍車をかけるさらに利益を上向かせるため努力していると話した。LG電子は主力事業である生活家電と携帯電話事業をより高価、高機能のものに変えて競争力を高め、ディスプレーもこれ以上価格が下落しないと予想されるため、下半期も好調が続くと楽観的に予想している。
一方、サムスン電子はリストラを否定しているが、離職する役員や社員は増えていて、前サムスンマンを捕まえようとリクルート市場も活気を浴びている。特にサムスン電子出身の役員はITベンチャーや中堅企業のCEO、CIOとして人気が高い。世界のサムスンらしく新入社員の頃からきつく鍛えられているせいか、何を任せても「だめです」、「無理です」とは言わず「やってみます」、「成せば成る」の精神で最も効率の高い方法を見つけ出しては解決する人達と定評されている。業種に関係なく引っ張りだこだ。
サムスン電子は半導体以外では好調で携帯電話もノキアに続いて世界2位となったことだし、収益も伸びている、下半期からは問題ないと何度もプレス発表をしているが、その弁解を聞くたびにもっと不安になるのはなぜだろう。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070731/278689/