グリーン成長の具体案
九つの分野に集中投資
韓国政府は、グリーン成長を具現化するために「グリーンエネルギー産業発展戦略」を樹立した。これは韓国初のグリーンエネルギー開発と産業化に関する基本戦略である。
具体的には、環境に関連のある全省庁を網羅して九つの分野を選択し、5年間で3兆ウォンを集中投資することが決定した。
グリーンエネルギー産業の成長動力として選択された九つの重点育成分野は以下の通り。世界市場が急成長して韓国内でも関連産業が発展している「太陽光」「風力」「LED」「電力IT」の4分野は早期成長動力グループとして産業化を集中的に支援する。世界市場における潜在力が大きく技術的優位確保を急ぐべき「水素燃料電池」「ガス・石炭液化」「石炭ガス化複合発展」「二酸化炭素包集貯蔵」「エネルギー保存」の5分野は、次世代動力グループとして研究開発と実証実験に関する投資を集中的に行う。
これら成長動力を支援することで、2030年までにエネルギー効率を46%改善し、化学エネルギーの割合を83%から61%に縮小、原子力は14.9%から27.8%へ、新再生エネルギー割合は2.4%から11%へ4.6倍増やすのが目標だ。
ただ支援するだけでは意味がないとして、韓国政府は市場指向型技術開発によりグローバル技術力を確保することにした。具体的には9分野に対して政府資金1兆7000億ウォン、民間資金1兆3000億ウォン、5年間で総額3兆ウォン(約2400億円)を投資して2012年までには世界有数の技術力を確保すると意気込みを見せている。
新再生エネルギー全体の研究開発には111兆5000億ウォン(約9兆円)が投資される。2012年まで太陽光は発電量を400MW、風力は約1GWに拡大する。2009年末には世界最大の発電所竣工(254MW)と520MW規模の発電所を早期着工するなど、豊富な海洋エネルギー資源を活用する計画だ。
韓国は先進国に比べ新再生エネルギー政策の取り組みが遅れていたが、大統領の「グリーン成長」の一言で尻に火がついたように急いで各種政策を発表しているという印象すら受ける。きっかけはどうであれ、トップダウン式で瞬時に事を進める韓国の長所がグリーンエネルギーにも活かされようとしているのは間違いないだろう。
(趙 章恩●取材/文)
[BCN This Week 2008年11月17日 vol.1260 掲載]