第7回:わけあり悪役に魅せられて~本物のドラマはこれだ! 弁護士達~





第7回 わけあり悪役に魅せられて

~本物のドラマはこれだ! 弁護士達~

2005年8月3日


 前回ご紹介したドラマ『キム・サムスン』の人気はすごかった。終映日、ドラマの直後特番で撮影現場のドキュメンタリーとインタビューが放映され、「私たちみんなサムスン」という30代女性のシングルライフを分析した特番までやっていたほど。

●愛と未練と陰謀がうまく絡み合った注目のサスペンス







『弁護士達』ドラマ制作発表会で出演者たち。左からキム・ソンス、ハン・ゴウン、チョン・へヨン、キム・サンギョン、ジェロム
(※ 画像はすべてクリックで拡大)
(c)iMBC
 サムスンが終ってからブレイクしているのがこのドラマ、MBCの『弁護士達』。7月4日にスタートした月火ドラマで、 韓国ドラマとしては珍しい本格サスペンスのため「本物のドラマ」との評判が高い。

 愛と未練と陰謀がうまく絡み合っているし、ストーリー展開も早くてじれったくない。1話、2話でうわーっと事件が起こり、犯人も悪役もはっきりしているんだけど誰も手をつけられないのがもどかしい。悪役もどうして悪役になったのかの理由がはっきりしているので、納得しながら「どうする気?」とつい感情移入してしまう。だが視聴率は中年層を虜にしたSBS特別ドラマ「ファッション」に負けているので、ちょっと惜しい。

 バイオリニストで、病院を経営しながら孤児院を支援する両親をもつお姫様のようなキム・ジュヒは、司法試験に合格した彼氏ユン・ソッギを祝うために家族でパーティを開く。ジュヒとソッギはその日初めての夜を迎えるが、ちょうどその時間、パーティ帰りの検事ソ・ジョンホの奥さんで不眠症に悩むヘスに呼び出された両親と妹は殺人事件に巻き込まれ、両親は亡くなり、妹は下半身麻痺になってしまう。

 真相を探ろうとするソッギは犯人グループにつかまり、拷問の末その組織に忠誠すると誓わされ、ジュヒの前から姿を消してしまう。それから5年、弁護士となったソ・ジョンホの秘書になり法律事務所で働く無口で暗い女になってしまったジュヒ。アメリカからやってくる新しい弁護士のために部屋の掃除をしていた彼女の前に現れたのはソッギだった。それからソッギはソ・ジョンホと対立しながらジュヒを苦しめるのだが……。


視聴!<弁護士達>

 『弁護士達』(MBC、毎週月火夜9時55分~)を視聴するには、ドラマ視聴ページの「overseas」(海外利用者向けVOD)メニューをクリック。VODは1件1,000ウォン(約110円)、リアルタイム(On Air)は無料。
 MBCについて詳しくは
第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。



●強烈な悪役から一転、純粋なヒロインを演じたチョン・へヨン

 SBSドラマ「火の鳥」で車椅子に乗った強烈な悪役ミランで実際の旦那さんにまで「怖い」と言われた演技派チョン・へヨン)が、今回は180度変身。「火の鳥」で、社長令嬢からお父さんの死により販売員、家政婦をしながらたくましく家族を養う故イ・ウンジュの役に近い、過酷な運命に立ち向かう純粋な主人公ジュヒを演じる。

●悪役なのに大人気のキム・ソンス







悪役が似合いすぎ? 韓国女性に大人気のキム・ソンス
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 ジュヒの彼氏で、拷問により命よりも大事なものはないと、弁護士でありながら暴力団の部下として次から次へとジュヒを懲らしめる悪役を好演しているキム・ソンス。悪役なのに女性達にすごい人気! わけありの悪役で、あんなに悪いことをしながらもまだジュヒを愛しているようなセリフもあったりして、ドキッとしてしまう。

 ラグジュアリー&セクシーの代名詞になったキム・ソンスだが、デビューはなんと「韓国版仮面ライダー」である「地球勇士ベクターマン」! その後の長い無名時代には、下着モデルやチラシモデルもやっていた。俳優として認められるようになったのはアダルト映画に近かった「おいしいセックスそして愛」という映画がきっかけになった。その後、ソン・ヘギョ主演の「フルハウス」とイ・ドンゴン主演の「ガラスの華(ユリファ)」で、主人公の彼女を片想いするやさしくも柔らかい役柄で注目され始め、29歳で2004年SBS演技大賞新人賞を受賞した。

 キム・ソンス本人も「これが始めての悪役ですが、僕の彼女からもその目線が気持ち悪いと言われてしまいました」というほどハマリ役。個人ホームページに「愛する人を守るために仕方なく悪魔と契約する役なので、今までとは違った慎重な演技が要求されるからとても楽しくやりがいがある」と。また、「悪役なのにこんなに人気が出るとは予想もしなかった」と驚いていた。

 キム・ソンスは9月から日本、台湾などアジアファンツアーに出かける。日本ではドラマ「ガラスの華(ユリファ)」が、台湾では「フルハウス」が公開され彼も韓流スターとして注目されるようになったからだとか。

●こだわりの人キム・サンギョンは弁護士役を好演

 「殺人の追憶」でソウルからやってきた刑事役のキム・サンギョンも久々のドラマ出演で、秘書のジュヒを愛しながらも疑夫症の奥さんとも別れられない熱血弁護士ソ・ジョンホ役。キム・ソンスと対立する「善」としていい味を出している。初めて悪役演技に挑戦するキム・ソンスと演技対決を広げているキム・サンギョンは昔から弁護士だったように安定した演技でドラマの中心を支えている。ジュヒへの微妙な感情変化も纎細に表現できる人で、「視聴率にこだわる俳優にはなりたくない」とMBCドラマ視聴者掲示板に書き残したほどこだわりのある人だ。









元彼と尊敬する上司の間で揺れるプラトニックラブストーリーにもご期待
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二人の火花散る演技対決。かっこいい~
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●サスペンスありラブストーリーありコメディーあり、そして演技派揃い

 助演達も負けてはいない。ソッギを誘惑するセクシーな秘書はモデル出身のハン・ゴウン、ソ・ジョンホを助けるとてもスマートでかわいい女性弁護士は演劇俳優出身のチュ・サンミ、それに新人俳優らも多数登場している。

 演技派勢揃いのサスペンスあり、ラブストーリーあり、コメディーありと助演までしっかりしている弁護士達。今までの韓国ドラマとは一味も二味も違う、キャラクターがしっかり生きていてストーリに埋もれないこのドラマに、ハマってみませんか?

※注 俳優名と役名を区別するために、俳優名にはアンダーラインを付けました。


By-
RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情」 Link

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