サムスン、SK、KTF、STXなど韓国を代表する大手企業は野球やサッカーチームを運営するようにプロゲーム団を運営している。韓国から始まったオンラインゲームの対戦中継やプロゲーマーという職業は中国・ヨーロッパにも影響を与えている。
G★2008では、世界で初めてeスポーツ国際機構として9ヶ国が参加する「国際eスポーツ連盟(IeSF:International e-Sports Federation)」の設立記念式典が開催された。
会長は韓国eスポーツ協会の会長でもある、韓国最大手携帯電話キャリアのSKテレコムの代表が勤めている。
今までのeスポーツリーグは、G★2008で決勝が行われた「スーパーファイト」のようにゲーム会社や民間企業がスポンサーとなって開催されていたが、国際eスポーツ連盟の誕生とeスポーツのリーグ戦に適したゲームタイトルが増えてきたことにより、オリンピックのように国別で成績を競うイベントが開催出来るのではないかと期待されている。
韓国人がここまでオンラインゲーム対戦に夢中になるのは、単純に勝ち負けをはっきりさせるのが楽しいからではない。
どんなマップでどんな戦術を使って勝つのか、オンラインゲームと言えど人間の頭脳と頭脳の対決には先の読めない妙味があり大変面白い。加えて、他のスポーツと同様にプロゲーマーの対戦には、解説者と司会の中継が入り、この掛け合いが評判のようだ。
韓国の秋葉原ともいえる電気街の龍山には、ゲーム対戦スタジオである「eスポーツスタジアム」があり、ゲームごとに名解説者が存在する。
プロゲーム団は全12団体存在する。サムスン電子「KHAN」、SKテレコム「T1」、CJ「エントゥス」、MBC「ゲームヒーロー」、KTF「MagicNs」、ルカフ「OZ」、STX「SouL」、ウンジン「スターズ」、オンゲームネット「スパキーズ」、e-stro「e-stro」、wemade「FOX」、空軍「ACE」と大手企業や軍までも名前を挙げている。
野球やサッカーチームの運営には莫大な運営費がかかるが、プロゲーム団は少ない投資額で10倍以上の宣伝効果を上げられるため、特にIT企業に人気が高い。
2008年11月時点でeスポーツ協会に登録された韓国のプロゲーマーは435人。大会で上位8位まで入賞したプレイヤーは、専門の教育を受けてプロゲーマーとして登録される。
この中からさらに実力のあるプレイヤーがプロゲーム団の一員として選ばれるのだ。
2008年のリーグ戦優勝はサムスン電子の「KHAN」。この団体は、2004年から女性監督が率いていることでも注目されている。
KTF「MagicNs」はプロゲーム団の中で最も歴史が長い。
携帯電話キャリアであるKTFが、若さと挑戦、先端技術を備えた企業文化をアピールするため1999年12月に設立した団体だ。当時はまだプロゲーマーという言葉が浸透しておらず、ゲームばかりしている=オタクというマイナスイメージがあった。
しかしKTFは、オンラインゲームはeスポーツとして大きな産業になると考え、5年間で45億ウォンを投資して10倍以上のマーケティング効果を達成したという。
KTFの成功を見て、CJやSTX、ウンジンといった韓国の有名企業らもプロゲーム団設立に参入し、現在の市場が形成されたというわけだ。
空軍が「ACE」というプロゲーム団を持つようになったのには、実は裏話がある。韓国でカリスマ、皇帝と呼ばれるプロゲーマー1世代イム・ヨファンが徴兵で召集された際、彼のプロゲーマーとしての人生が入隊によって中断させられてしまうのは勿体無いと、国防部と文化観光体育部がわざわざわ軍にゲーム団を創立したのだ。
もちろん、プロゲーマーのために軍がゲーム団まで運営するとはけしからんという声もあった。
しかし空軍は、空軍の訓練の一つとしてシミュレーションなどの開発にも参加させるということで、「電算特技兵」としてイム・ヨファンをはじめとするプロゲーマー達が軍に在籍している期間もゲームを続けられるようにしたというのだ。徴兵に対して後ろ向きな若い世代に向けて、入隊させるためのイメージアップ戦略だったのかもしれない。
2008年からは、軍の広報を兼ねて正式に「eスポーツ兵」として兵士を募集している。
プロゲーム団のゲーマー管理体制はとても厳しいことで有名だ。チームの中は、それぞれ1軍と2軍に区分される。リーグ戦で戦える選手は1ラウンド当たり12人に限られているため、チームの中でも選抜選手になるためには熾烈な競争をしなければならない。
さらに、年間5ラウンド、ほぼ毎日休む間もなく対戦を続けなければならない。集中力を保てる基礎体力作りも十分でなければ良い成績は期待できないのだ。
プロゲーマーはリーグ毎にランク付けされ、優勝回数が多いほど年俸が上がるのはプロスポーツ界と同様。椅子に座り数十分マウスを動かすだけのように見えてるこの職業は、実際には大変体力を消耗するため、スポーツ選手よりも厳しい合宿体制が敷かれている。
次回は、伝説のプロゲーマー「皇帝」ことイム・ヨファンはじめ、プロゲーマーの実態に迫ってみよう!
By.趙章恩
Original report (@niftyゲーム)
http://game.nifty.com/cs/column/detail/090107119360/1.htm