(ソウル発)三星SDIとLGフィリップスディスプレー(LGPD)は21インチブラウン管の厚さを世界初の30センチ未満にスリム化することに成功し、ブラウン管の需要は落ちていないことを積極的にアピールしている。
6月7日には三星SDIが29.9センチのブラウン管を開発し、14日にはLGPDが3ミリ薄い29.6センチのブラウン管開発に成功した。既存のブラウン管の厚さは43.6センチだから3割以上も薄いことになる。両社は今年下半期からウルトラスリムブラウン管の量産に入る。LGPDは中国南京工場にも量産体制を敷く方針だ。
三星SDIとLGPDの「ウルトラスリム競争」がおきているのは、ブラウン管テレビに対する世界市場の需要が相変らず大きいためだ。先進国ではすでにブラウン管テレビを新しく購入する人は珍しくなってきたが、それ以外の世界市場では相変らずブラウン管テレビが主流だからだ。
特に東南アジアではブラウン管テレビのシェアが99%に達している。また先進国市場でも液晶・プラズマは主に30インチ以上の大型が中心なので、30インチ以下の中小型テレビに限れば依然、競争力がある。
LGPDの関係者は、ブラウン管テレビの世界需要は昨年の200万台から今年は1400万台に増えると予想したうえで、「ウルトラスリムテレビを開発し、値段は安くデザインは液晶・プラズマと遜色ない人気商品にしたい」と話している。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
[BCN This Week 2006年6月26日 vol.1143 掲載] Link