<韓国リポート>韓国のネット被害拡大の原因はセキュリティ-不感症とIT依存症 (過去記事)

週末韓国を襲った「1・25インターネット通信障害」はネットワーク担当者がいながらも、パッチが発表された時にすぐインストールする等の、基礎的なことをせずに起きた「人災」と断定できる。韓国人のほとんどがこのような事件を「いつでもまた繰り返し起こり得る問題」と指摘している。分かっていながらも治せない、IT強国を作り上げた国民性が今、IT強国の座を危機にさらしている。

「IT先進国のはずが」


 国家の全体インターネット網が麻痺したこの大混乱の影響で、「もう韓国はIT強国と言えないのではないか」、「今まで韓国が積み上げてきたIT先進国としての努力が水の泡になった」とIT関係者たちは嘆いている。


 個人情報保護、DB保護と言った政策面では気を使っており、担当者の名前をWEB上に明記する等、万全を期しているように見えたが、情報保護を集客、マーケティングの手段としか思っていなかった企業が多かったのも事実だろう。面倒だから、費用がかさばるから、といった理由でセキュリティーを後回しにしたオンライン企業も多い。


IT依存度の高さが混乱広げる


 IT依存度が高すぎるのも原因だ。他の国、例えば日本や米国の場合は、既存の産業にインターネットというもう一つのチャンネルが追加されたに過ぎないが、韓国ではオンラインバンキング、ショッピング、教育、電子政府、ホームネットワーク、コミュニケーションほとんどの生活がインターネットを中心にしており、オンラインから先に動いている。すべての産業がインターネット、ITが中心だったため、混乱が加速された面もある。


 全国2万余りのPCバンはインターネット通信障害の2日間で225億ウォン(1000ウォンが約100円)もの被害を受けたとし、KTなど主要ISPと問題になったMS社を相手に集団で損害賠償を求める動きを見せている。オンラインゲームは正確な集計は出せないが、4時間ほど決済システムが使えなかった結果、業界全体で少なくとも数十億ウォン台の被害を記録したと推定している。オンラインショッピングの方は電話で対応し大きな問題にはならなかったが、販売機会を失った損失と管理上の損失として企業当たり5億ウォン以上の損失を主張している。


 韓国内オンラインバンキング加入者数は2002年末現在1770万人、経済活動人口の70%が利用している。銀行業務のオンラインバンキングの割合は20%を超す(資料:韓国銀行)。株のオンライントレードの割合は2002年11末現在53.2%、口座数は530万を超えた。去年11月1ヵ月間のオンライン取引額は299兆9000万ウォン、1日平均10兆ウォンほどがオンラインで取引されている。もし平日このような事態が起きていれば、韓国は国中が電算障害による金融被害の損害賠償請求訴訟に巻き込まれ、ネットだけでなく国自体が麻痺してしまっただろう。不幸中の幸いだった。


 韓国のネッティズンたちは、何よりもネットが使えず無駄に過ごした自分の時間を弁償してほしい、と主張している。たった週末の何時間ではあるが、ショッピングもできず、ゲームもできず、何もすることがなかったその空白をお金で計算すると一体いくらになるのだろう。平凡なネットユーザーに過ぎないと思っていた筆者自信も、ネットなしでは本当に何もやることがないことに気付いた。仕事も趣味も(ゲームと懸賞応募、この事態に気付いたのも懸賞応募の真っ最中だった!)ネットにつながっていないとできない、しかもたった数時間であるが、断水や停電と同じぐらい苦痛な時間であったのはびっくりした。


今回の事態を教訓に


 これをきっかけに、今度こそは「ゲンチャナヨ」(大丈夫)精神を改めてほしい。2001年7月、2ヵ月以上も続き3万台以上のサーバーが感染され個人の被害も大きかったコードレッドワームウィルスの被害にあれほど悩まされたにもかかわらず、再びウィルス感染で大事態を引き起こしてしまった。


 また誰の責任でもないとする、罪だけを憎む人情もこの際には忘れてほしい。ネット障害が起きる直前、DAUMのドメイン管理を代行している米国ネットワークソリューションズ社の問題で一時サイトにつながらない騒ぎが起きた。1日ページビュー1億以上を誇り、国内外の韓国人ほとんどが会員になっている国家代表サイトがドメイン管理をおろそかにし、会社がなくなる危機に陥りながらも「弊社の責任ではないのでゲンチャナヨ」状態だった。ユーザーも何日もサイトを利用できず不便ではあったが、サイトが元に戻ったときには「ゲンチャナヨ」と何も追求しなかった。


 IT大統領とも、デジタル大統領とも公言した政権なので、2月就任するノ・ムヒョン大統領への期待が高まっている。「大統領職引受委員会」では情報保安関連業務が国家情報院、情報通信省、警察庁等に分散しており、インターネット障害が収拾できないため、情報保安システムを一元化する方案を出し、情報通信省の綜合状況室を補完、常設運営すると発表した。情報通信部も非常連絡網を作り、道路交通法と同じようにネット道路法の制定を急ぐと発表したが、そのうち、また忘れてしまうのではないかと心配である。

by- 趙 章恩


 デジタルコア連載  Link

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *