第19回:韓ドラの新しいジャンルを切り開いた『宮』<その2>~ドラマ初出演の新人ばかり、だから新鮮







第19回
韓ドラの新しいジャンルを切り開いた『宮』<その2>

ドラマ初出演の新人ばかり、だから新鮮

2006年2月8日


●春の結婚シーズンには給料の3分の1が飛ぶ!?

 今日は大雪の中、友人の子供の生まれて初めての誕生日「ドル」があった。韓国では1歳の誕生日はとても重要な日で、ホテルのバイキングやファミリーレストランを借切り大勢の人を呼ぶ。家族や親戚はもちろん、会社の上司や後輩や友人や近所の人まで集まり、子供の誕生を正式に祝うのだ。

 韓国ドラマによく出てくるのが、交際を始めて100日目、1年目、1,000日目などの記念日に彼氏が大きな花束と指輪を贈りながら結婚のプロポーズをするという場面だが、韓国では実際に100日と1年はとても重要な意味をもっていて、大学入試100日前の日もお祝いをする。一時期受験100日前の日から銀の指輪をはめるとよい、というデマのせいで銀の指輪がバカ売れしたものだ。お母さんたちは毎日早朝に、教会やお寺に通い100日間子供の合格を祈る。

 子供が生まれて100日目になると「ぺッイル」といって家族が集まりパーティーをする。この日は真っ白なペッソルギというお米と砂糖で作ったほんのり甘い四角い餅を配る。大昔は赤ちゃんの生存率が低かったから、100日経ってやっと「この子はもう大丈夫」と思ったのかも知れない。

 今は100日目はパスして生まれて1年目を迎えるドルの日を盛大に祝うことが多く、招待された人は純金の赤ちゃん用指輪をプレゼントするのが慣わし。記念にもなるし、成長しながら金銭が必要になったらお金に換えて使ってね、という意味もある。

 でも今年に入ってから純金の値段が暴騰しちゃって、ドル用の指輪がまったく売れないそう。また会社から直行するため買う時間がないということも多いので、そういうときは祝儀を渡す。相場は大体は5万ウォン~10万ウォン(2006年2月8日現在:1ウォン=約0.12円)、親戚の場合はずっしり重さのある純金のネックレスや金で作った長寿を願う亀、富を願う豚を贈るか、祝儀をはずむ。

 結婚式でも、会場がホテルだったら食事代を考えて5万ウォン~10万ウォン、たった15分で結婚式終了、はい次のカップル入場~というような専用の結婚式場だったら3万ウォン~5万ウォンかな? でも仲良しグループの友人とか、会社の上司関係になると10万ウォンは出さないと恥ずかしい。

 また、新婚旅行のあとに新居を公開する「ジプドゥリ」という行事があって、招待客はお金が泡のように出てくることを祝って洗剤、また友人同士でお金を出し合って家電なんかをプレゼントする習慣がある。日本と同じように韓国でも毎月何かと祝儀を出すことがあり、春の結婚シーズンになると給料の3分の1が飛んだとか、家計圧迫、…と嘆く主婦が多い。まあ、一種の貯金と考えれば気は楽になるけど。

●『宮』は微笑ましいシーンの連続

 それはさておき、前回に続きドラマ『宮』の話題。1、2話では冬休み中の中高生のウケ狙いか、日本でいうと2chで使われているようなネット用語が出まくり、大人たちにはさっぱりわからない宇宙語ともいわれるスラングが字幕解説付きで登場してひんしゅくをかっていた。でも、3話からはだいぶ落ち着いて、宮廷の厳格な生活ぶりが紹介されている。







皇太子役のジュ・ジフン。モデル出身だけあって187cmもある長身にスレンダーなスタイルはさすが!
(c)iMBC(※ 画像はクリックで拡大)
 休む暇などまったくない公務の連続、警護が付きっ切りで私生活はまったくなし、毎朝のお通じまで報告しなくてはならない生活が続く皇太子妃チェギョン。まだ高校生なのに皇太子妃となり家族と離れ宮で生活する彼女は、久しぶりに両親と宮で会える日を心待ちにしている。

 だが当日、勉強の時間だからと部屋に閉じ込められ、急いで戻ってみると両親はすでに帰ったあとで、チェギョンのために持ってきてくれた数々のキムチだけが手紙と一緒に残されていた。でもチェギョンのお母さんはかなりのしっかりもの(ちゃっかりもの?)で、保険の外交をしているんだけど、なんと皇帝と皇后と面会したとき、皇帝に保険を勧め1件契約成立!

 泣き崩れるチェギョンを見た皇太子は、こっそり皇后にお願いし2泊3日、付き人なしで夫婦揃ってチェギョンの実家へ里帰りすることになる。

 皇太子は、いつもの堅苦しい皇室とは違い、家族がみんな友達のように仲よく、お父さんが料理してお母さんが味見する姿に微笑んだり、チェギョンと一つしかないベッドをめぐって口喧嘩の末結局二人で一緒のベッドに寝っ転がりちょっとドキドキしたり、皇室では口を大きく開けるからみっともないと禁じられているチャンチュサム(焼肉屋さんで出てくる葉っぱがサンチュ、この葉っぱにご飯、お肉、味噌たれなどを包んで食べること)を食べてみたり、靴を履いたまま家の中へ入ったり(「花より男子」を参考にしたのか)、習慣からベッドの中でも靴下を履いたままで驚かれたりと、とっても微笑ましい場面が多くて、TVの画面をなでなでしながら観てしまいましたよ。

 チェギョンと皇太子もお互いをけなし合ってばかりいたけど、このときからは少しずつお互いに惹かれ合っていくのを自覚したみたい。もうその姿がかわいらしくてたまらん!


視聴!<宮(グン)>

 』(MBC、毎週水・木夜10時から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。海外VODは300kbpsストリーミング・ダウンロードが1話1,000ウォン。
 MBCのインターネットでの視聴方法について詳しくは
第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。


●皇太子役ジュ・ジフンはポスト“ヨン様”!?

 皇太子役のジュ・ジフンはこれが初めてのドラマ主演だけど、放映から1か月もしない内に今をトキメク大物新人としてCMでも引っ張りだこ。監督が一目見て惚れ込んだというだけに、冷たいようで奥深いところでは絶えず気を配る繊細な性格を上手く表現していて、しかもそこにいるだけで絵になるかっこよさです。ヨン様の雰囲気にはまだ追いつかないけど、十分可能性ありじゃないかな?

 ドラマでは、幻の伝統スポーツも数々紹介されている。宮内の所々にお皿のようなものを置き、中に球をスティックで打って入れる元祖ゴルフのようなものや、馬に乗って球を打ち合うポロのような競技が数百年も前に韓国に存在していたことがわかりびっくり。裏歴史豆情報も仕入れることができて面白い。

●主人公の感情や今後の成り行きを暗示するテディーベア







毎回あちこちの場面で登場するテディーベアたち
(c)iMBC
 『宮』には毎回エンディングに主人公の感情や今後の成り行きを暗示させるようなポーズをしたテディーベアが登場する。元彼女ヒョリンと妃チェギョンの間で皇太子の心がゆれているときは目隠ししたテディーベアが登場したり、皇太子シンと従兄弟であるユルの今後の関係を表すように伝統衣装を着た2匹のテディーベアのうち片方が殴られ転んでいたりと、かなり手が込んでいる。これは済州道にあるテディーベアミュージアムの協力によるもので、ファンタジーっぽい雰囲気を演出するための小道具として使われている。そういえば皇太子シンはいつも白いテディーベアを抱いている。







伝統衣装をアレンジした衣装はチェギョンのものだけで2億ウォンの制作費がかかっている
(c)iMBC
 見どころはまだまだ続く。チェギョンが着ている伝統衣装である韓服とドレスをミックスしたかわいい衣装や、宮殿あちこちのゴージャスなオリエンタル風のインテリアも目を楽しませてくれる。雑誌にも『宮』のインテリアが何度か紹介されていて、おしゃれ主婦の間ではここに出てくる古家具や原色で華麗な刺繍が施された屏風をインテリアのポイントに取り入れるのが流行っていて、壁紙もシンプルな白をベースにソファーの後ろの壁だけド派手な黄色に花柄、または水彩画で大きな1輪の花が描いてあるものをポイントにする家も増えている。

 『宮』は時代劇ではないということで故宮での撮影を断られ、15億ウォンの予算をかけて工場地に立派なセットを作り、ソウル中心にある景福宮のずっと後ろまで宮殿が続く背景はコンピューターグラフィックで処理したそうだ。セットの中には1千万ウォンを超えるアンティークソファー、カップ一つが数百万ウォンというティーセットなどもあり、おちおち動き回れないとか。野外撮影は観光コースとして人気のソウル市内の雲ヒョン宮(ウンヒョングン)、慶熙宮(キョンヒグン)で行われている。

 韓国ドラマも成長を続けていて、人気俳優を主演に起用し、スターの人気に便乗するメロドラマはもう人気がなく、主演はみんな新人、時代劇でもトレンディードラマでも制作費をうんとかけてじっくり事前制作して(でもまだ韓国のほとんどのドラマはその日の午後撮影した場面が夜10時に放映されるというすごいスケジュールで制作されている)、ありきたりのストーリーではなく好き嫌いが分かれる個性的な物語が視聴率を稼いでいる。

●美少年イ・ジュンギが人気~映画「王の男」が大ブレイク中

 映画の世界でも同じく新人を起用した同性愛っぽいストーリーの時代劇が今物凄くブレイクしている。「王の男」という映画で観客1,000万人突破を目前に控えている。韓国の王様の中で、唯一母を死刑にさせた政治家たちへの復習から暴君となり悪名高かった燕山君(ヨンサングン)と、彼のお気に入りとなり宮廷芸人となった男たちの話で、とても哲学的なセリフが多く、最初はヒットしにくいと言われていた。ところが、この映画で王様の寵愛を受ける女形コンギルを演じた美少年イ・ジュンギが一気にスターの仲間入り。この子を観るために何度も映画館に足を運ぶファンが多いらしく、韓国映画記録を塗り替えるのではと期待されている。









「王の男」映画ポスター。一番手前がイ・ジュンギ 今とにかく話題の中心はイ・ジュンギだ

 今の時期は特に大作とよべるドラマはないが、3月には海外ロケ中心の、「パリの恋人」「プラハの恋人」に続く「サンフランシスコ」が始まるということで女性ファンをときめかせている。ヨン様はこの頃、主演ドラマ「太王四神紀」の撮影に向けて剣術や乗馬などの基礎練習に励んでいるそう。次回はそのニュースも含めて、主演のエリック(神話)が撮影中深刻な交通事故に遭い、ドラマが途中で放映中断という放送史上初めての事態となってしまった「オオカミ」のことも報告します。お楽しみに!


By-
RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情」
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