情報通信部と放送委員会は主張譲らず
【ソウル発】2004年2月以来、韓国のIT産業政策ビジョンとして推進されてきた IT839戦略が細部項目を再調整のうえ、u─IT839戦略へアップグレードされた。
情報通信部が発表した今年度業務計画のなかで最も注目されているのはu─IT839戦略にIPTVが追加されたこと。IPTV導入に関して放送委員会との葛藤が絶えないなか、情報通信部はIPTVを国家IT戦略として積極的に推進させ、年内には必ず放送と通信を融合させるという意思を見せている。IPTVが通信なのか放送なのかについて02年から議論が始まっているが、5年経った今でも結論が出ていない。この2年の間、政府機関と業界関係者、一般人まで参加した公開シンポジウムは300回以上も開催されているが、何も変わっていない。まずサービスを開始してそれから制度を作っていこうと主張する情報通信部と、構造を変え制度を作ってからサービスしようと主張する放送委員会はお互い一歩も譲らないでいる。
新しく策定されたu─IT839戦略の主な内容は、インターネット電話はすでに常用化されたため除外する一方、放送と通信の融合などITとその他産業との融合、IT技術や製品を効果的に開発しユーザー中心の便利なITサービスを提供するソフトウェアの大切さを強調するための「広帯域融合サービス」と「ITサービス」部門を追加するというものである。
情報通信部はu─IT839戦略のほかに今年の主要業務計画として100万ウォン台の国民ロボットの発売開始、HSDPAとWibro商用サービス、地上波DMB(ワンセグ)放送地域拡大、地上波デジタルTV全国放送実施、インターネット実名制一部導入などを発表した。
情報通信部のバックアップによりKT(旧韓国通信)のIPTVも着々と準備が整い始めた。現段階ではIPTV許可に関する制度化が遅れているため常用サービス時期を確定できずにいるが、利用料金は月額1万5000ウォンを予定している。KTはIPTVを独立した個別サービスとして提供するか、ブロードバンド利用者への付加サービスとして提供するかはまだ決めていない。
KTのIPTVは家庭用のTVにセットトップボックスを設置しインターネット網とつなぎ、数百のチャンネルから地上波放送、VOD再放送、映画、メール、メッセンジャー、ニュース、写真アルバム、天気、ゲーム、カラオケ、携帯電話SMS(ショートメッセージ)など多様なマルチメディアサービスを提供する計画だ。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
[BCN This Week 2006年2月20日 vol.1126 掲載] Link