第25回:すごいのが来たぞ~紀元前古代韓国の歴史大河ドラマ『朱蒙』







第25回
すごいのが来たぞ!

紀元前古代韓国の歴史大河ドラマ『朱蒙』

2006年6月22日


●人気ドラマにもW杯の影響が!?

 この頃ワールドカップのせいでTVをつければサッカーの話ばかりで、ドラマの編成時間もめちゃくちゃ。今もっとも人気のドラマ『朱蒙(ジュモン)』なんて2話連続欠放だったと思ったら、19日もフランス戦で欠放。ちょっと、3話連続はひどいんじゃない?







ソソノ役のハン・へジンと朱蒙(ジュモン)役のソン・イルグック。ハン・へジンは「頑張れグムスン」で大ブレイクし、「フレンズ」や「1%の奇跡」でもお馴染み
(c)iMBC
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 歴史ドラマって難しいからあまり観ないんだけど、『朱蒙』は特別。私の大好きな俳優ソン・イルグックとキム・スンスがライバルとして登場するのだ! ソン・イルグックは「海神」「愛情の条件」、ソン・イェジンと映画「作業の定石」に出演した、がっちりとした体格の男らしい俳優さん。何をやってもだめな道楽息子が勇猛な実父の存在を知り、自分の力に目覚め武術を鍛えリーダーへと成長していくという朱蒙役で出演している。

 キム・スンスは「100万本のバラ」「君は星」など主婦向けの朝ドラや一日ドラマに、寡黙でやさしい役専門で登場。今回は朱蒙の異母兄で嫉妬に狂う悪役に挑戦する。

 この二人が出ているだけで嬉しい! ストーリーなんてどうでもいい! と思っていたら、韓国の教科書にも出ている有名な歴史の話なので結構わかりやすい。視聴者として軌道に乗りはじめたところだったのに、ワールドカップで3話連続お休みだから力が抜けてしまった。







ワールドカップの応援グッズに赤い悪魔の角がついたカチューシャも登場
 でも文句が言えないほど、今韓国のワールドカップ熱気はすごい。2002年以上かもしれない。街角応援は4年前よりも熱狂的で、応援道具だってすごい。公式サポーター「レッドデビル」らしく、女の子達は赤い悪魔の角がついたカチューシャや槍なんか持っちゃて結構かわいい。

 19日月曜日早朝4時から始まる対フランス戦のために出社時間を昼の12時に遅らせる会社もあれば、昼寝を許すと発表する会社もあり、特別休日にする中学や小学校まである。男女老若、みんなどうしてそんなにサッカーが好きなんだろう。野球はあまり人気がないのにサッカーには燃える。でもKリーグはだめでワールドカップだけ燃える。これはどこの国も同じかもしれないけど。


●面白いドラマが続々登場

 こんなワールドカップ騒ぎの中でも、『朱蒙』を始め面白いドラマは続々登場している。
前回紹介した、ユジン主演の「ジンチャジンチャ・ジョアへ」(本当に本当に好き)は、ボンギとボンスンはお笑いコンビか? というぐらい面白いシーンが多くて目が離せないし、種明かしになっちゃうけど、ボンスンの出生の秘密がわかり、安心して三角関係になれる(!)のでホッとして観られるところもいい。

 「ジンチャジンチャ・ジョアへ」と同じ時間帯のKBS週末ドラマ「ソムンナンチルゴンジュ」(噂のチル姫)は、ぼろくそ文句を言われながらも結構高い視聴率をキープしている。

 ドクチル、ソルチル、ミチル、ジョンチル、チルで終わる名前の4人娘家族の物語なんだけど、高校生の娘が家庭教師の子供を妊娠したり、姉の恋人を奪ったり、旦那が家にいるのに旦那の友達と浮気をしたり、韓国人の倫理観からかけ離れたシチュエーションばかりで、「ドラマとはいえ、これはあり得ない!」と大ブーイング。

 なのにみんな週末は「ジンチャジンチャ・ジョアヘ」と「ソムンナンチルゴンジュ」のチャンネルをパチパチ変えながら、笑ったりぶつぶつ文句言ったり忙しいのだ。韓国は番組の途中にCMが入らないので、休む間もなく60分みっちり2つのドラマを同時に観終るとどっと疲れてしまう。また、どっちも見逃した場面が気になるので、結局ネットで「ダシボギ」(VOD再放送)するけど、リモコン握り締めて同時に二つのドラマを観るのもスリルがあってお勧め。

 『朱蒙』の話に戻ると、とにかくこれはスゴイ! 300億ウォン(約36億円)の予算で2年前から企画されたドラマで、秋に公開される同じくMBCのヨン様ドラマ「太王四神記」に登場する高句麗が、どのようにして誕生したのかについての物語だ。『朱蒙』は高句麗という国を建てた王様の名前で(BC37建国)、ヨン様は高句麗でもっとも勇敢で有名な王様、廣開土大王(375年~413年)を演じる。

 最近『朱蒙』のおかげで話題になっているのが「ミリボギ」。次回予告を少し長くしたハイライト場面集のようなVODで、視聴料はSBSとKBSは無料だけどMBCは5分ほどの動画で1回300ウォンと有料。でも「もう気になって夜も眠れない!」というときにはつい利用してしまう。

 『朱蒙』は3話連続お休みの影響からこの「ミリボギ」の利用件数が急増していて、視聴者掲示板には「ミリボギの内容を書き込むな派」と「こっそり教えて派」に分かれ、熱い討論の結果、タイトルに「ミリボギ」と書いてから書き込むといったルールができたほど。

 「ミリボギ」の場面から次回のストーリーを想像して、自分なりのシナリオを書いて掲示板に載せ激論となったり、ドラマの場面をキャプチャーして漫画のようにセリフを変えて自作パロディーを作ったり、8話放映で視聴率30%を超えたドラマだけあってすでに廃人だらけだ。廃人同士で「ミリボギもダシボギ(VOD再放送)もいいけど、とにかく視聴率のために放映時間になったらTVの前に座りましょう」というキャンペーンまでやっている。

●『朱蒙』でソン・イルグック様に溺れる事間違いなし!!







異母兄デソ役のキム・スンスも悪役だけどステキ~
(c)iMBC
 『朱蒙』の魅力は、ソン・イルグック、キム・スンスといったルックスもよく演技力も抜群な人気俳優が出演していることもあるが、途中から観た人でも十分についていけるよう毎話エピソード式で展開され、登場人物それぞれが深い事情を持ち、みんなが主人公のようになっていることなどがあげられる。ファンタジー映画のような見事な自然風景と華麗な衣装も見もの。しかし、朱蒙三兄弟の衣装は赤、黄、青で、「まるで信号ではないか!」「わざとなのか?」と思わず突っ込みたくもなる(笑)。

 また2005年「海神」以降男性ドラマがなく、このところ、高校生の婚前妊娠とか自分が未婚の母として産み捨てた娘を嫁にするといったショッキングな作品が多かったので、そういったドラマに飽きた視聴者が多いことも『朱蒙』を引き立てる要素となっている。久しぶりに韓国らしいドラマが始まった。当分はどっぷり『朱蒙』にはまりそう~。


視聴!<朱蒙(ジュモン)>

 MBC45周年記念特別ドラマ『朱蒙(ジュモン)』(MBC、毎週月・火夜9時55分から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。海外VODは300kbpsストリーミング・ダウンロードが1話1,000ウォン。
 MBCのインターネットでの視聴方法について詳しくは
第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。



By-
RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情 
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