第28回 女房と不倫彼女の魂が入れ替わった! ファンタジーかコメディーか?『帰ってきてスンエ氏』 |
2006年8月24日
今回の雨はすごかった。韓国にも梅雨はあるけどこんなに全国的に集中豪雨が何日も続き、ソウル市内でマンションの1階が浸水するという騒ぎになったのは何十年ぶりのこと。夏の避暑地で有名な東海岸の江原道の被害が特に大きく、「夏の香り」、「冬のソナタ」など韓流ドラマのロケ地で有名な地域の被害も大きかった。
ヨン様も水害被害住民のために2億ウォンを寄付した。2004年新潟震災のときに3億ウォン、2005年南アジア津波のときに3億ウォン、韓国内の小児癌と女性の福祉のため2億ウォンを寄付している彼は、どんなスターや財閥よりも寄付に積極的だ。
ヨン様はレストラン事業の大成功と株価の暴騰で、資産は1,000億ウォン以上と言われるが、もっともっと成功してほしい。個人的に何の関係もないけれど、ヨン様というビッグなスターが韓国人だということが嬉しい。
それで「ゴリラ・インザキッチン」にも行ってみましたよ。健康にこだわったレストランだからサラダとチキン料理が種類豊富で、とてもさっぱりしていておいしかった。JPさん(編注:イム・ジョンピル氏、ペ・ヨンジュンのトレーナーとして日本でもお馴染み)もいましたよ。値段も周辺のおしゃれなレストランに比べたらそんなに高くもなく、テラスもあって、女友達とワイワイおしゃべりしながらブランチするにはぴったり。オープン当時は日本から訪れたファンの行列で1時間待ちなんてざらだったけど、今はランチ以外はそれほど混んでいない。店員さんの話だと、ゆっくり楽しみたい人は夕方の方がベターだそう。
●久々の登場!笑い転げられる痛快爆笑ラブコメ
ゴルフ場でいちゃいちゃ不倫している夫イルソクを、ゴルフ場会員権を引き当てたスンエが目撃する (c)SBS (※ 画像はクリックで拡大) |
その名も「ドルスン」=ドラワヨ(帰ってきて)・スンエシ(スンエ氏)の略。去年の「サムスン」ブームの影響から、アジュンマ(おばさん)化したアガシ(お嬢さん)を主人公にするドラマは多かったけど、正直、主人公の演技力不在でハートにグッと来る傑作とは言い難かった。
でもこれは今までの韓国ドラマのパターンとはちょっと違う。40代子持ちで怖いものなしのアジュンマが、パイロットの旦那がスッチーと浮気している場面を目撃し、相手の女に殴りこみに行く。そして、3人で話し合おうじゃなかと、不倫相手で20代ぴちぴちスタイル抜群の絶世の美女を連れて旦那に会いに行く途中、交通事故で2人の魂が入れ替わってしまうというすごい設定。予告編から爆笑もので、Blogを中心に口コミで広がり、1話目で水木ドラマの中では視聴率1位、4話目で視聴率20%を突破した。
主な登場人物はこの5人――。
スンエは高校時代フィールドホッケー選手出身で、典型的な韓国主婦というか、タフで声が大きくてタダでもらえるものなら何でも好き。それに息子のチャンヒのためなら命も惜しくない。
チョウンはスチュワーデスとして航空会社のモデルになったほどの美貌の持ち主で、母を亡くし生きる力をなくしていたとき、パリで機長のイルソクに出会い、不倫と知りながらも密会を続ける。自分の美貌をどのように利用すればいいのかをよくわかっている。
イルソクはパイロットで、高校時代にスンエを追っかけまわし結婚にゴールインしたはずなのに、結婚10年で専業主婦のスンエを無視し、給料も自分がしっかり握っているだけでなく、中年のむなしさを不倫で癒すという大胆な行為に出る。
唯一2人が入れ替わったことを知るスンエの友達ジョンスクは、海で2人の頭を思いっきりぶつけ魂を入れ替えようとしたり、工事現場から飛び降りて気絶する方法を提案したり、色んな場面でスンエの助っ人として重要な役割をしている。
交通事故の瞬間、この後2人の魂は入れ替わってしまう (c)SBS (※ 画像はクリックで拡大) | 雷が落ちれば魂が元に戻るかも? ジョンスクはスンエに色んなアイデアを提供するが… (c)SBS |
チョウンの魂が入ったスンエなのか、スンエの魂が入ったチョウンの体なのかで迷う貴公子ヒョンウは、チョウンの元彼。ゴルフ場を経営する財閥の息子で、スンエの心をときめかす。
SBSのインターネットでの視聴方法について詳しくは第4回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編4<ヨン様新作が話題SBS>を参照。
●グラマーな超美人、その正体は?
このドラマの人気の秘密は何と言っても主人公のチョウンを演じている「パク・ジンヒ」のアジュンマ演技。外側はグラマーな超美人なのに中身は40代のアジュンマだから、かなりトンチンカンなキャラクターなんだけど、これを滑らか~に演じている。ドラマ出演は2002年「あなたを知ってから」以来なので4年ぶりだが、今までどうしてドラマを休んでいたの! と怒りたくなるほどどんぴしゃなはまり役だ。マスコミも「名俳優の再発見」と褒めちぎり、コメディーばかりでなく、1話に登場する悩殺温泉シーンや4話のベッドシーンも彼女の魅力を引き出していると大騒ぎ。
チョウンの体に入ったスンエをときめかすヒョンウ (c)SBS (※ 画像はクリックで拡大) | これがあの話題の第1話目の温泉シーン、日本のどこかで撮影されたそう (c)SBS |
面白かったのは、中身はスンエだけど、チョウンはスチュワーデスなので仕事をほっぽり出すわけにはいかない。何の知識もなく、とにかくアジュンマの勘で何とかなると空港へ向かったスンエは、ドリンクサービスの方法がわからないのをごまかすため顔に水をかけては「交通事故の後遺症かしらお腹が痛くて冷や汗が出るのよ」。キャビンの中にあるお菓子を見ては「これ全部タダなの~」と狂喜しポケットに詰め込む始末。食事はいらないという客にも「タダなのにどうして? もったいないでしょう!」とお皿を突きつける始末。また、航空会社のルールを知らないので髪は染めるし、機内アナウンスもおぼつかない。
外側はセクシー美女なのに、中身はアジュンマだから、口をあければ「バカ野郎!」なんて平気で言うし、ジョンスクが、家にやってきたチョウンを魂が入れ替わったスンエと認めた大きな理由がただならぬ目力、「そこにアジュンマの力を感じたから」というのも面白い。
●おばさんが、純情な娘に!?
チョウンの魂が入ったスンエを演じるシム・へジンも負けてはいない。「アンニョン・フランチェスカ」でみせた猟奇的な姿が受けて(鳩を鶏とだまして屋台で売ったり、すぐかっとなりノコギリを振り上げたり)色んなドラマでひっぱりだこの彼女は、第1話の恥もプライドもないおばさんから、一気に純情な娘のように人が変わる演技を無理なく消化している。
視聴者掲示板にも「この頃時代劇ばかりで女性が気軽に楽しめるドラマがあまりなかったところ、久しぶりに思いっきり笑えた」、「パク・ジンヒの話すことやることすべてが1話のシム・へジンにそっくりでもうビックリ。そこまで計算して演技をしているとはすごい」、「ジョンスク役のパク・ミソンの助演なしではこのドラマの面白さは半減したかも。表情一つ一つが生き生きしていて個性的」など、絶賛する内容ばかり。
今日もまたソウルは雨。雨の夜といえばキムチをたっぷり入れたチジミに冷たいドンドンジュ(濁り酒)!と韓国ではお決まりのメニューがある。チジミを食べながら、TVの主人公のセリフに「そうだよね~」、「何でそんなこと言うんだよ!」なんていちいち相槌を打ちながら、主人公になりきってみるのもいいよね~。
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RBB TODAY : 趙章恩の現地直送 “韓ドラ事情” Link