韓国に流行語大賞があるとしたら今年は「ヌード」が1、2位を争うだろう。ファンの記憶から遠のいた女優や歌手10人がカムバック記念に携帯やインターネットでヌード写真集を有料販売し始めた。結果は大成功。脱いだお陰で「誰だっけ?」から一気に収入も知名度もアップした。
ドラマのキスシーンでさえ「家族の反対」を理由に拒んだ女優が日本の有名カメラマンと組んでヘアヌード写真集を出すというニュースが報道されたばかりだ。ミニスカートにおへそルックでさえ厳しい目で見ていた韓国社会だったが、今年は一般の女性までヌード写真集を撮りたがるほど「ヌード」が流行っている。日本の女性が密かに韓国観光のついでに明洞あたりのスタジオでヌード写真を撮っているとテレビ番組に紹介されて以来、そのスタジオには結婚記念にカップルでとか、1枚だけお願いとか、1か月に日本人90人に韓国人10人の割合でヌード撮影依頼があるそうだ。
芸能人のヌードは「若き日の記念に」とか、「きれいな体を自慢したくて」とか理由は色々だが、結局は韓国社会に蔓延している「一発主義」とも関係があると芸能評論家達はみている。「一発当てて大儲けしてやる!」の投げやり的な気持ちから地道に活動するより、ヌード写真集で数億円を一気に稼ぎたい心理が強いという分析だ。
一方、ヌードは女性の率直で堂々たる自己表現でもあるからそう批判するなという意見もある。
写真集と言いながらも出版ではなくネットや携帯電話で公開するのは、その方がより多くの人に買ってもらえるからだ。本があまり売れないこともあるが、携帯電話からのサービスは決済手段もはっきりしていてコンテンツをコピーするのも難しい。
韓国のキャリアは、アダルト系を公式コンテンツに認めている。だがヌード写真集の付録のように、毎回ハッキング事件が起こっているのは問題だ。未成年者も入れる掲示板などに写真の一部が堂々と掲載されたり、写真集が公開される度、必ずハッキング事件が起きるのはおかしいと、検察ではわざとハッキングを偽ってコンテンツプロバイダ側が写真を流出している疑いがあるとして捜査を始めた。
韓国でヘアヌードは取り締りの対象になり、ネットに掲載した場合は情報保護法違反、写真集、演劇などでは公演淫乱罪が適用され1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑になる。まだテレビ、新聞、週刊誌などに堂々とヌードが掲載されることはないが、何でも禁止するよりオープンにした明るい社会になるかも。
[BCN This Week 2003年12月8日 vol.1018 掲載] Link