いま韓国では空前のブログブーム。ブログとはウェブで発見した興味深いサイトのリンクと短いコメントを付ける日誌、韓国ではウェブに掲載する公開日記という意味で使われている。写真1枚と10行以内の短い文章で1日を締めくくるブロガーが急増している。どうしてここまでブログが人気なのか。それはネットがもう面白くも何ともない「成熟期」に入ったせいではないだろうか。
ネットの達人である韓国のユーザー達も、わずか6年前まではネットとはどういうものなのかを探るだけで手一杯だった。ネット初心者は動画、音楽、ニュース、ゲームなど情報を発信してくれるサイトを探し回るだけで目が回り、面白い情報をかき集めることだけに夢中だった。宝物のようにMP3や動画ファイルをダウンロードしCDに焼いたり、ネットで拾った情報を自分のもののように友達に教えてあげたり、それが楽しみだった。
ネットに慣れ始めてから欲しい情報をいつでも取り出せるようになり、ユーザーはより自分にとって便利なインスタントメッセンジャーやコミュニティサイトにはまり、情報を交換したり、チャットをしたりと、自分という存在に目を向け始めた。何でもかき集めることはもういや、自分を中心にネットワークを結成したいという欲求が芽生え始めたのだ。
韓国ではこれがアバタ(ネット上の分身)の着せ替えとして表れた。他人が作った面白いものから脱皮し、自分をネット上で表現したいと思い始めた時、うまいタイミングでアバタが登場し、個性を思いっきり出せるサービスとして有料化にも成功した。それからアバタを利用した個人ホームページが人気を集め、それをもっと簡潔にしたのがブログになった。
5-6年前、「今日、夫婦喧嘩をした」とか、「子供が初めて歩いた」とか、物凄く個人的なことを載せられるブログがあったとしても、「何だこれは」とみんな馬鹿にし、アダルト動画や何かしら刺激的なものを探し回っていたに違いない。実際ちょっと前までも掲示板に何か書き込む時はみんなが納得できる「情報」というものが重要で、個人の「感情」は対象にならなかった。
でも貯めるだけの情報はもう面白くない、私も外に向けて何か発信したいと思い始めた。そういう個人的な部分をブログという便利なツールを利用して噴出し、同じ趣向の人同士がつながり、お互い励ましの言葉を残し、ブログからブログへ広がる輪を楽しむようになったのはネットが成熟してきたから(面白くなくなったから)、インターネットはやっぱり「人ターネット」ということに気づいたからではないだろうか。
[趙 章恩 CHO CHANG EUN]
[BCN This Week 2004年3月8日 vol.1030 掲載] Link