日本だと、「ドラマはこのチャンネルが面白くて、バラエティーはここが最高」というような特徴があるのだが、韓国のTVはどこも似たり寄ったり。特に土曜日の午後なんて、全く同じコンセプトの番組を一斉に流したりする。それは「自局番組批判」だ。
各局と市民団体は「TV視聴者モニター制度」を運営している。例えばドラマで、主人公の故郷がソウルだったはずが3話あたりから釜山にすり変わっているとか、綴りの間違った字幕が流れたとか、キャスターのコメントが不適切だったとか、お笑い番組で女性を卑下する表現が目立ちすぎるとか、全ての番組に目を通し、厳しくチェックするのがモニターの役割だ。
このモニター達が指摘した内容を放映し、自己批判しながら「より素晴らしい番組を作って見せます」というのが主な内容なのだが、この番組自体ちょっとおかしい。視聴者達がけしからんと指摘した場面だけを編集し、「これが問題のあの場面です」といって親切にもう1度見せてくれるのだ。これって物凄く簡単に視聴率の取れる方法ではないだろうか。TVを見ない人でも土曜日の午後、この批判番組にさえ目を通しておけば「あれ見た?」の話題についていける。
「冬のソナタ」の次に4月からBSで放映される韓国ドラマの「オールイン」も、視聴率は高かったけど、この手の批判番組の常連だった。ただでさえギャンブル好きな国民性に油を注ぐだの、この不景気に海外ロケで膨大な制作費を浪費しただの、キスシーンが多すぎるだの、あれこれ非難の対象になり、ドラマのストーリーにも影響を与えた。
韓国のドラマは事前制作ではないので、視聴者の意見を反映してストーリーがどんどん変わるケースが多い。主人公が死ぬのもだめ、ありふれたハッピーエンドでもだめ。ほとんどのドラマが現場でシナリオをもらい、その場しのぎの撮影をしているので、批判番組の餌食になることが当然多い。
こういった視聴者の意見はTV局のホームページにある番組別掲示板にも自由に書き込める。視聴者同士で意見が衝突してネット口論になることもしばしば。朝の主婦向けワイドショーなんかも、朝っぱらから胸丸出しの衣装は見たくないとか、広告くさい特番はやめてほしいとか、実にいろんな意見が寄せられるのだが、それを受け入れるふりをしてまた土曜日の午後、「あの問題の衣装はこれです」と見せてくれるから笑ってしまう。視聴者の意見を聞いてくれるのはいいけど、そこまでしなくてもね~
[趙 章恩 CHO CHANG EUN]