新潟県IT&ITS推進協議会 ブロードバンド普及セミナーを開催
本紙コラム執筆者の趙 章恩さんが講演
新潟県IT&ITS推進協議会はこのほど、「IT先進国・韓国に学ぶ~韓国のBB(ブロードバンド)事情うらおもて~」と題するITフォーラムを開催、4月まで本紙コラム「ソウルの街角から」を担当した趙章恩・JIBC(ジャパン・インターネット・ビジネス・コミュニティ)会長(=写真)が基調講演で最新の韓国IT事情などを紹介した。新潟県は2003年11月末現在で、ADSLおよびCATV(ケーブルテレビ)によるブロードバンド世帯普及率が19%にとどまっている。産学官で構成する同推進協議会を主宰する新潟県は、今年1月に「新潟県ブロードバンドネットワーク構想」をまとめ、05年に県内のブロードバンド普及率を50%に高めることを目指している。
今回、そうした推進活動の一環として趙JIBC会長を招いて最新の韓国ブロードバンド状況について講演とパネルディスカッションを開いた。基調講演で趙JIBC会長は、「オンラインゲームで普及したブロードバンドネットワークは、韓国の社会を変えるまでになった」と話し、4月の韓国総選挙では「個人のホームページを持つ候補者の80%が当選した」など、インターネットが国政を左右するまでになっていると語った。また、韓国のテレビ局がドラマの有料ネット配信で収益を上げている実情や、新聞社が有料で紙面のPDFファイル配信と無料のニュース配信を組み合わせている事例を交えながら、韓国では「自己顕示欲が強いので、ブログやHOMPYが急速に普及している」ことや、インターネットマンションの建設が増加していることを紹介。
「韓国では、ブロードバンドを使って『まず、やってみよう』というのが普通」と日常にブロードバンドが浸透しており、「赤ちゃんが生まれると首が据わるか据わらないうちにマウスを握らせる。インターネットなしでは暮らせない」などとユーモアを交えながら韓国の状況を紹介した。パネルディスカッションでは、張鉉洙・新潟県国際交流員が、「新潟県に来てみて、ADSLを申し込んだが開通まで2週間かかって驚いた。韓国ならば1日で利用できるようになる」と指摘した。
また、李欣洙・セコム上信越先任研究員はインターネットセキュリティの面から、「インターネットの普及でネット犯罪も増加している。プロバイダはユーザーを守るだけでなく、ユーザーの教育も求められている」と、普及とともに教育重視の必要性を訴えた。また、飯塚留美・国際通信経済研究所上級研究員は、韓国でブロードバンドのコンテンツ配信が普及している状況について、「テレビ局の発言力が強く、著作権に関する意識が違う」などと文化の違いについて言及した。
[BCN This Week 2004年6月7日 vol.1042 掲載] Link